苦しくて 哀しくて
悔しくて 寂しくて
ただ好きだから 好きでいてほしかった
ただ好きだから 好きな自分でいたかった
ありのままの自分なんてちっぽけで
愛される資格もないにんげんだから
嫉妬し 羨み 愛されたいと願って
ぐるぐるとどろどろと渦巻く
自信なんて初めからないんだ
努力しないと好かれない 気に喰わないところがあれば離れていかれる
いいひとで在ろうとして
いい人間で在ろうとして
でもそれがどんなものなのかわからずに
精一杯生きてきて
それでもやっぱり誰かの迷惑に
それでもやっぱり誰かの重荷に
なってしまうのなら なってしまうのなら
大好きなあなたに 嫌われてしまうのなら
誤魔化して 視ないフリして
必死で そんなひとじゃないと想っても
やっぱり遠まわしに 云われてる気がする
こんな人間嫌だ
想いが 黒くて 重たくて
疑心暗鬼を抱えて 信じられなくて
大嫌いな人間なのに
軽蔑する人間なのに
どうしてそれが自分なのか
もっと もっと 厭な人間になっていく
悔しくて 寂しくて
ただ好きだから 好きでいてほしかった
ただ好きだから 好きな自分でいたかった
ありのままの自分なんてちっぽけで
愛される資格もないにんげんだから
嫉妬し 羨み 愛されたいと願って
ぐるぐるとどろどろと渦巻く
自信なんて初めからないんだ
努力しないと好かれない 気に喰わないところがあれば離れていかれる
いいひとで在ろうとして
いい人間で在ろうとして
でもそれがどんなものなのかわからずに
精一杯生きてきて
それでもやっぱり誰かの迷惑に
それでもやっぱり誰かの重荷に
なってしまうのなら なってしまうのなら
大好きなあなたに 嫌われてしまうのなら
誤魔化して 視ないフリして
必死で そんなひとじゃないと想っても
やっぱり遠まわしに 云われてる気がする
こんな人間嫌だ
想いが 黒くて 重たくて
疑心暗鬼を抱えて 信じられなくて
大嫌いな人間なのに
軽蔑する人間なのに
どうしてそれが自分なのか
もっと もっと 厭な人間になっていく
「抱返り渓谷」「あふれる」「チングルマ」
2017年8月24日 ネタ帳 コメント (2)両側にそそり立つ崖は、岩肌をむき出しにしていまにも渓谷を閉じようとしているかのようだった。
青い空に白い雲が浮かび、深い緑が空との境界を埋めている。
つり橋から眺めた景色に、思わずため息をつくと、その光景に圧倒された。
「・・・・・・」
言葉は出てこない。こんな景色をどう形容しようとも足りないという思いから、やっと頭に浮かんだ言葉さえも消えていく。
いまでこそ歩きやすくなった場所で、こうして観光を目的とした格好でも歩けるが、昔はこうはいかなかったのだろう。厳しい自然に創りあげられた場所は、ただひとりが通るので精一杯。すれ違うのには抱き合うようにせねばならなかったという。
他の観光客の歩みを止めぬように、ゆっくりと吊橋を渡っていく。
自分のものではないその揺れが、三半規管を少しずつ狂わせていくのに、足元さえもふらついてくる。しかし、橋も中ほどまで来てしまえば、この先へ進むのも帰るのも同じなのだから、と歩を進める。
足元の遥か下では渓流が音を立てて流れていき、風が頬を撫でる。真夏の日であっても、南の方からきた旅行者にとっては涼しく感じる。
やっとのことで反対側へと辿り着くと、少し進路から外れて改めていま渡ってきた橋をみやる。
新緑の季節であれば生命の息吹が感じられ、秋であれば鮮やかな紅葉が楽しめるだろうが、いまは夏真っ盛りである。むせ返るほどの緑の匂いが、その生命力の強さを感じさせる。
川に近い場所に下りるルートがあるようで、先に進むのはいったん止めて、下に降りてみることにした。
「・・・・・おっと」
足元に気を付けながら、木々の間を通って行く。あまりこちらにくるひとはいないのか、のんびりとしたペースで歩けるのがいい。懸命に鳴く虫や小さな花を眺めながら、川の音が強くなっていくのを感じる。
足を止めて、大きめの岩に腰を掛ける。足元に小さな白い花が揺れているのに気が付いた。5枚ある花弁の中心には黄色いおしべが多数ついており、次の世代へと生を繋ごうとしている。
その様子に、何故だか視界が潤んだ。段々と喉に熱いものが込み上がってくる感覚に思わず口を開ければ、熱を帯びた嗚咽がひとつ、零れ落ちた。
「・・・・・・・ふ」
自覚してしまえば、涙は止め処なく溢れてくるもので、次から次へと零れ落ちてくる。袖口で頬を拭っても、それでは追いつかない。ここが人気のない場所で良かったと思う。
瞼を閉じれば、紅い唇が思い浮かぶ。
笑みを浮かべたそれは、別の男の隣で楽しそうにしている。笑っている表情など何度も見たというのに、何故だかはっきりと思い出すことができない。鮮明なのは、その唇だけ。
彼女を彩る服もたくさん出てくるのに、彼女の顔だけはどこかでブロックがかかっているようでぼんやりとしたまま。
気分転換をしにここまで来たはずなのに。彼女のことをきっぱり忘れようとそう思ったからこそ、ひとりで旅行をしているのに。
「・・・・・・んで」
付き合っていたわけではない。告白さえしないまま。それでも、彼女に選ばれないと知っている。あまりにも素敵な人だから。ずっとずっと、見ていたかったのに。
そんな不毛な恋は止めようと。恋敵の多いこの恋は―――
「なんで」
それなのに、思い出す。
彼女の笑い声。彼女の微笑。くるくると変わるその表情。
精一杯の背伸びで塗られた口紅の色は、もう少し抑え目の方が彼女に似合っていることを。
忘れようと思えば思うほど、浮かんでくる。他の誰かを選んだ。告白する勇気さえない男よりも、愛を囁ける男が選ばれるのは当たり前なのに。
それなのに、悔しくて仕方ない。諦めようと思っているのに、悔しくて、悔しくて。
「ああ」
可憐な花は、たくさんの異性を引き寄せる。その魅力に魅せられれば、ただ吸い寄せられるのみ。
諦めるなどできようもないことは、わかっていた。いまはまだ、気持ちさえ伝えていないのだから。
腕を離して、顔を上げる。
涙の後はまだ、乾ききってはいないが、不思議と心は落ち着いていた。
==========
お題:「抱返り渓谷」「あふれる」「チングルマ」
お題提供:たんぽぽ様
チングルマの花言葉は「可憐」ということらしいです。
花は8月にも咲いているようなので、季節は今の時期になりました。
見たことのない花ですが、小さくて可愛らしいのでしょうね。
ありがとうございました。
不安で不安で仕方なくて
怖くて怖くて仕方なくて
こんなこと考えてて呆れられるんじゃないかって
こんな風に悩んで見放されるんじゃないかって
信じたい
大好きなひとたちを信じたい
でも 本当の自分を見せてこなかったのは自分自身
誰より そんな自分を嫌っているのは自分自身
強くなりたい
どんな自分でもいいんだよって認められるひとに
強くなりたい
周りがどんなひとだって流されないひとに
ひとつひとつ真剣に向き合って
誠実なひとでありたいって思ってた
いまもそう思ってる
みんな同じだよっていって片付けるような人間にはなりたくない
恵まれてるんだからって意見を押しつけるようなひとにも
誰しも通る道だよって見せかけの安心感を与えようとするひとにも
ただひとつ 自分が通ってきた道しかしらないのに
全てを見てきたかのようにしったかぶりするようなひとにも
なりたくはないんだ
ただ ちゃんと前を見て
背筋を伸ばして
あなたとは違う人間なんだって
それでも存在していいんだって
掛け替えのない存在なんだって
過去でなくちゃんといまを生きてるんだって
声が枯れるほど叫んで
堂々と生きてられるそんなひとになりたい
============
愚痴を聴くのは嫌なんだ
自分の心までそっちに持って行かれそうで
愚痴を吐くのは怖いんだ
誰かに嫌な気持ちをさせるんじゃないかって
心が苦しいのは自分なのに
それを伝染させてしまうんじゃないかって
大切な人には苦しんで欲しくないんだ
だから 見て欲しくないんだ
こんな弱い自分を
こんな醜い自分を
声を上げようとして 躊躇って 諦める
呑みこんで 溜め込んで 人間不信になる
お願い倖せになって
お願い僕のことは忘れて
そう願うのに
オ願イ 忘レナイデ
==========
湧き出てくるものを形にするのが怖かった
大切にしたいと 失いたくないと願うものが増えるほど
このどす黒い感情を知られるのが怖かった
抑え付けて 縛りつけて
視えないように工夫して
重荷になるのが怖かった
大切な誰かの心の重荷になるのではないかと
関わりたくないやつだと思われるのが怖かった
当たり障りのない言葉を吐いて
ただ好きなものだけに目を向けて
ポジティブ思考を心掛けて
段々と傷が開いて 溢れ出しそうになるものを
押しとどめておくことに必死になって
何に頑張っているのか わからなくなった
私は私だ 他の誰でもない
こうしてマイナスな感情を抱えてしまう
私は私だ 他の誰でもない
誰かのマイナスな感情を受け止めきれずに自滅してしまう
揺さぶられて ひっくり返されて
ただ確固とした自己認識がされていないばっかりに
堤防が崩れて 決壊して
降り積もった泥が涙と共に濁流となって
支え切れないものを 見ないふりをしてやり過ごそうとして
結局溢れ返ってしまっている
不安や 恐怖や 悲しみが
たくさんたくさん詰まった風船が割れたのだ
綺麗な空を見て 美味しい空気を吸って
それでも心には泥の雨が降り注いで
大丈夫大丈夫と 魔法の呪文を唱えても
もはや効果はなくなってしまった
悪意を受け取って弱体化した精神は
容易く他の悪意に浸食される
回復を辛抱強く待っていても
また別の悪意に侵される
こんな自分を好きになれないから
こんな自分を好きになってなんてもらえないだろう
それでも寂しくて仕方ないんだ
それは自業自得なのだろうけれど
何がしたいんだろうって
何をしたいんだろうって
めちゃくちゃになって 支離滅裂になって
すべて投げて 息することさえも辞めたいと
楽しかった関係さえも
寂しさを感じさせるものでしかなくなって
手を伸ばしても届かない
寂しいよって甘えては駄目だと
仮初の関係であればあるほど
虚しくなるものだったから
違和感を覚えて 距離を見失って
防御癖を創って それでも寂しくて
駄目な癖
だから多分 恋なんてしない方がいい
相手のことを考えられず
ずっとこっちを見てほしいと願ってしまうから
日々の雑務なんてどうでもいい
煩わしい人間関係なんてどうでもいい
寝ることと 時々食べることと
あとは湧いてくる言葉を紡いで
可愛いものを見て 綺麗なものを視て
心地好いものを聴いて
ただそれだけをしていたい
人間なんて嫌いだ
でも
人間だから言葉を紡げる
嗚呼
嫌なことをする誰かを厭がって
誰かにとって嫌なことをする自分を厭がって
結局 赦すこともできずに 水の中
ぷくぷくぷく こぽこぽこぽ
ああ どうしてこうも苦しいんだろう
ああ どうしてこうも生きにくいんだろう
迷惑なひとを厭がってるのは誰なのか
迷惑な行為を厭がってるのは誰なのか
困っているひとを助けて
困っているひとが自由に動けるように助けて
困っていたら助けてもらえて
不自由があったら 声を上げて環境を変えて
ああ そうか
助けてもらえなかったから
きっと いっぱい我慢してるから
だから 自分は我慢してるのにって
自分は周りに迷惑かけないように精一杯やってるのにって
どうして そんなに奔放なんだ
どうして そんなに無関心なんだ
そういいながら 厭な気持ちになるんだね
自分は頑張ってるのに 我慢してるのに
どうして 楽な思いしてるやつがいるんだ
一緒に苦しめ って
一緒に楽になればいい
一緒に倖せになればいい
迷惑かけられても 迷惑かけても
お互いさまだって思えればいい
情けは人の為ならず
いつか助けてもらう自分のために
ああ でも
返せる気がしないんだよなぁ
だから 我慢してしまう
どうしたら許せるのかな
どうしたら認められるのかな
そのままでいいって このままでいいって
息をするのが 楽になるのかな
わからない わからないんだ
ひとの価値観が ひとの言葉が
耳の奥で木霊して
優しひとでありたくて
正しいひとでありたくて
誰かの失敗を哂うより
誰かの失敗を一緒に嘆きたい
気持ち悪いとさえ感じてしまう
誰かを羨むことも 誰かを嫌うことも
すべて自分の中にあることが
とてもとても 残念なんだ
聖人になんかなれないけれど
善いと思うことはやりたくて
聖人になんかなれないけれど
悪いことには吐き気がする
罪を犯すことも 誰かを蹴落とすことも
後ろ指を指すことも 陰口を叩くことも
目を逸らしたくなるほど 残酷だ
違う文化圏の人なのだと
気分を害することなくまるっと受け入れて
常識という名の障壁が
誰かの心を傷つけることのないように
知らない誰かに気を遣って生きるのはしんどい
ひとは自分が思うより気にしないというけれど
なんで ネットの海には悪意が溢れるのだろう
悪意を受け取らずに済みたい
心を穏やかにして過ごしたい
疑心暗鬼に陥りたくない
向かい合ったあなたの心の陰なんて 知りたくはない
とげとげのひとに遭うと
とげとげが伝染する
だからせめて
ひとにとげとげが移らないようにって
頑張って 耐え忍んで
でも結局 とげとげしてしまう自分に
嫌気が差すんだ
夜風に当たりながら 過去を想う
未来を想う 現在を想う
そのすべてに黒い影を見たとしても
それでも 生きることを手放せないならば
誰かを排斥することでしか
心を保てない誰かの倖せを
祈ることなどどうしてできようか
移ろいゆく心を 素直だと褒めるのか
感化されやすく危ういと説くのか
黒いものも 青いものも
白いものも 赤いものも
みな等しく みな違う
自己に都合の悪いものを 排除し 追い出して
それで平和になったと思うのなら
幻想郷に生きる 一角獣
曇る 心が すりガラスのように
先が視えないと 足が竦む
楽しいと思っていたものが
一気に熱を奪われて
好きだと思っていたものが
ヘドロのように絡み付いて
吐き気がするほどに冷めて
嫌悪感すら抱いて
大好きだったの 大切だったの
それはもう 過去のこと
もう 手を伸ばしはしない
もう 笑顔になれはしない
見ないようにしていた違和感は
いまはもう飛び越えようのない亀裂になって
ひっきりなしに飛び交う情報が
必要なものなのか不必要なものなのか
真実なのかガセなのかわからないまま
あっという間に過ぎ去ってしまっていく
ただ 心にあるもの
ただ 胸にあるもの
他の誰にいわれたわけでもなく
世の流れだからというわけではなく
ただ 好きだということ
だだ 想うと胸が苦しくなるほどに
空を見上げて溜息を吐いて
白くなる現象の意味を知っていても
きんと冷えた空気の中で
耳が千切れそうな痛みを訴えても
全ての音が消え失せて
全ての光が消え失せて
それでも
それでも
抱きしめていたいと願うもの
夕闇に沈む月のかけらが
護りなさいと語りかける
訓練訓練と思って来たけどダメだ
完全に負荷かかりすぎて現実に支障来している
楽しめなくなった時点でやめるべきだ
人と話すことが絶望的に向かない
また声が出なくなる前に離れるべきだ
話そう話そうと思うほど焦りと絶望が強くなる
これでは心が死んでしまう
弱い生き物なのだ
音などすぐかき消えてしまう淡く儚いもの
それでも確かな爪痕を心に遺す
癒えることなく熱を帯び膿んだそこは
やがて全てを壊し尽くすだろう
優しい言葉が 元気が出る言葉が
勇気ができる言葉が 倖せになれる言葉が
書きたくて 書けるようになりたくて
たとえそれが自分を励ますための言葉でも
希望をもつことが 未来を信じることが
とても難しくなってしまって
周囲を見回しても疲弊していて
暮らしを楽しむ余裕がどこにあるのか
受け取り方の違い? 考え方の違い??
無理矢理にでもポジティブにしていれば
なんとかなるとでもいうの?
この世界の片隅で 膝を抱えて蹲って
誰に認められなくとも 息をしている
誰かの過去を論って 誰かの心を責め立てて
こんな世界ならば生きる価値を見いだせない
消費するだけの人間にも 消費されるだけの人間にも
なりたくないのだ ただここにいることを許されたい
頑張りたくて 頑張りすぎて
それで心が折れてしまったひとに
身体が動かなくなってしまったひとに
“それは結局君が望んだからだ”
“動きたくないという目的のために体調が悪くなるんだ”
そんな言葉を吐くようなひとにはなりたくないんだ
心臓が痛い 身体の不調が増している
優しい言葉を 楽しい言葉を
息を吐くように 木々が囁くように
胸から湧き出でるように
無理矢理引っ張り出して鼓舞するのではなく
無理矢理ネガティブを押しこめて表現するのではなく
ただ
心の内から
こんこんと
そうして誰かの心に何かが残れば
この上ない喜びなのだろう
愚痴を吐きたくない 愚痴を聴きたくない
できるなら倖せだって見せていてほしい
そうすれば少しは 希望が持てるから
そうすれば少しは 勇気が湧いてくるから
お願い お願い
こちらを消耗させないで
どうか どうか
倖せでいてください
口にしても 言葉にしても
それが相手に届かなければ
発していないのと同じ
“こういったでしょ”
“前にいったじゃない”
それはただのノイズであって
誰かに届く言葉ではない
伝える努力をしましたか
伝え方について考えましたか
あなたの想いを伝えたいのならば
あなたの心を伝えたいのならば
受け取れない相手を責めるより前に
することがあるんじゃないですか
どうすれば聞き入れてもらいやすいのか
どうすれば伝わりやすいのか
あなたはそれを
ちゃんと考えたことはありますか
考えなくて 試行錯誤もしないまま
“伝わらないなんて相手が悪い”なんて
“空気読めない最悪”なんて
あなたはただそこで
喚き散らしているだけなのに
あなたはただそこで
小さな独り言をいっているだけなのに
誰かに聴いてほしいなら
誰かに伝えたいのなら
言葉を選んで タイミングを選んで
長々とではなく 簡潔に伝わりやすい言葉で
口調も 態度も 向き合い方も
相手の状態もすべてひっくるめて
あなたは心を伝える努力をしていますか
身勝手に怒り散らしてはいませんか
無意味な言葉を重ねてはいませんか
相手を疲弊させてはいませんか
考え方が違う
過ごしてきた時間が違う
ちょっとしたことですれ違い
欲しい言葉をもらえない
あれでいい それでいい
他のひとは認められるのに
そんな風に考えるのは間違ってる
そんなこと思っていったんじゃない
僕の気持ちは否定されて
言葉に出すことが億劫になって
ただぐっと奥歯を噛み締める
感じてはいけないものを感じているのだと
ずっとずっと言われ続けて
こうした方が楽だと
その考え方は違うと
僕の考え 僕の気持ちを
口にしようものならば否定されて
どうして他の人の言葉はそのままでよくて
どうして他の人の気持ちはそのままでよくて
僕の気持ちはこのままじゃだめなの
僕の感じたものは嘘だというの
何もない
こんな風に思っちゃ駄目だって
自己否定ばかり起こっちゃって
大好きなことをしていても
大好きなものをみていても
これじゃダメなんだ
まだまだダメなんだ
もっと頑張らなくちゃ
自分の感性はおかしいのだから
たとえそれが誰かにとって
なんでもない一言だったとしても
たとえそれがあなたにとって
善意から来る一言だったとしても
“あなたの感じ方はおかしい”と
幼子にいうのはどうなの
“あなたの感性はおかしい”と
何度も繰り返すのはどうなの
自分の心に嘘を吐きたくないのに
これじゃだめなんだと自己否定を繰り返し
“手を差し伸べてもらえるひとになりなさい”
つまりいまは、手を差し伸べる価値のない人間で
“懸命に頑張っている人は応援したくなる”
つまりそれは、頑張れなくなったら手を差し伸べてもらえなくて
他人より足りない
欠けたところばかりの歪な能力
誰かの助けがなければ
生きていけはしないちっぽけな存在
助けてもらうためには
頑張り続けなくてはならないのなら
もう もう
このまま
疲れたんだ
考えれば考えるほど
沼に足を取られる
落ちるときはあっという間だ
落ちたときのことを考えていては足が竦んでしまう
これからの未来を考えて立ち竦む
ねえ どこに行きたかったの
肩を落として お腹痛くて
溜息ばかりついている
追い出したつもりの思考が追いかけてくる
ねえ なにがしたかったの
時間がもったいない!
キャパが少ないんだから!!
そうやってずっとずっと励ましてきたのに
ただでさえゼロ百思考の頭は
あっという間に黒に染まる
見ないフリして追い祓っても
また中に戻ってくる
何度だって 何度だって
ねえ どこに行きたかったの
この暗闇の中に戻りたかったわけじゃない
はやくはやく と 急かす声が聴こえる
もう嫌だと叫びだして 立ち向かったはずなのに
どうしてまた ここに戻ってきてしまっているのか
これまでしてきたことは 何だったのだろう
何も変わらない 何も変わっていない
臆病で 自信が持てなくて
少しのことに傷ついて 身体を壊す
社会の毒が身にきつすぎて
毒を食らわばの前に朽ちてしまう
弱い 弱い
だけど
強くなりたいとは思わない
弱くても
生きていていい社会になってほしい
自分が変わらなきゃって
そう思って頑張って頑張って頑張って
結局涙が止まらない。
わからない
頑張る部分 頑張る方向
間違えていたのかもしれない
それでも
なんだか
疲れたんだ
頑張りたかったのに
なんだかもう
疲れたんだ
捩れてしまった糸は ぐるぐると絡まる
いっぽんのまっすぐなものが 同じ場所を往ったり来たり
どこでどうなっているのか 判別もつかない
苦しいと足掻いてもがいて 更に首を絞める
終わるのだと決めたはずなのに
抜け出すのだと決めたはずなのに
新たな鎖がまた一本
心を絡め取って放さない
自由になりたい 苦しい哀しい
一所懸命になるほど 絡み付いて離れない
そんなもの欲してなどいないのに
欲しいものは別にあるのに
どうして手を伸ばしても届かないのだろう
どうして涙があふれるのだろう
『自分を取り戻すことができるなら』『ゆるし色』『つつっと』
2016年11月12日 ネタ帳 コメント (2)忙しさにかまけて己を見失い、何が欲しいのかさえわからない混沌の中、夢うつつで目指した光は、覚醒すれば霧の中へと掻き消える。
手を伸ばした先に真実があるのか、ただ心が憶えているのは『それが欲しい』という感覚のみ。
目覚めてからは欲というものは鳴りを潜め、ただ淡々とした日常がそこに暗い闇の口を開いて待ち構えているだけである。
身体が重い、頭が痛い、腰が痛い、食欲がない。
様々な不調を抱えつつ、皆生きているという。歳を取るということはそういうことであると人生の先輩方はそう笑っているけれど、果たしてそうなのだろうか。
ただ何となく日々を過ごす。目的もなく、ただ息をしている。
日々の糧を稼ぐための労動と、労働力を生み出すための食事を繰り返し、身体を横たえて眠りにつく。
穏やかに、小さなトラブルはあれども、静かな時とともに年月を経ていくことが『人生を送る』ということなのだろうか。
「・・・・・・」
虚無感を抱えながら男は、周囲がそうだというのだからそうなのだろう、と思考を停止させる。
このことについて深く考えてしまえば恐らく、気が狂ってしまうだろうという漫然とした予感がある。
生きるということを投げ出さないのであれば、考えないことが一番健全な道なのかもしれない。頭のいい哲学者は考えすぎて狂人化し、自ら命を絶ってしまうのだから。
あるがままの生活に、何の疑問も持たず日々を過ごす。当たり前の日々がこれから先ずっと続いていくのだと、信じられれば心に平穏を齎すだろう。
しかし、変わらないのだということは、それはつまり。
「・・・・・」
男は頭を振る。
変わらない、変わって行かない。変わることを望めない。
息苦しさを感じているこの場所で、変化を求めても何も変わらない。もっとよりよいものを求める向上心も、探求心も、この場所にはない。
いま在るのものがいい、いま在るものでいい。
思考を停止して、考えることを放棄して、それが嫌ならば出て行けという。馴染まないのであれば、ここにいる必要はないと。
男は箪笥の抽斗をそっと開けた。
随分と昔にそこに仕舞われたまま、幾年も過ぎてしまった着物をそろそろと取り出す。
樟脳の臭いと、少しのかび臭さ、しまい込んでしまったが故の虫食いが所々に見受けられる一斤染めのそれは、曾祖母が好んでいたもの。
高価な紅花で染めることは遠い昔禁色として規制がかかっていたようだが、このような淡い紅色は庶民でも着ることが許されたのだという。
許された色、聴色は時を経て段々と濃い色になってきたようだが、それでも韓紅には程遠い。
しかしそれは、とても優しい色合いで、とても落ち着く。
曾祖母もそれが気に入っていたのだろう、よく身につけていたようだ。白黒写真で色は見えないが、身に着けた姿を写真に撮りたくなるほどに、愛用していた。
「・・・・・」
そっとその着物に手を触れる。
紅花は高価で希少価値が高く、その紅赤を出すには量が必要になる。贅沢品であるが、それでも少しずつ、気付かれない程度に濃くなっていく聴色は、庶民の必死の足掻きのようにも思える。
もっと綺麗なものを着たい。もっとより良いものが欲しい。
「知恵と、工夫」
どうすれば禁を犯さずに、望みが叶えられるだろうか。
そんなことを考えながらより良い暮らしを求めていたのだろう。贅沢が罪とされた時代に、おかずの上にご飯を被せて隠したように。
きっとそんな慎ましやかな努力を、知っていても見逃していた役人もいただろう。よりよく行きたいという欲求を、彼らも持っていたのだから。
「それが、なんでだろうな」
ずるをして金儲けをする。相手を騙して金を巻き上げる。
不正に手を染めて得をしたものを褒め、崇める。
一生懸命真面目に働いているものを馬鹿にする。手を抜くことが生き延びる術だと豪語する。
真面目にコツコツと働いていても、生活の質は向上しない。身に降り積もる疲労で、何かを消費しようという気さえ萎えて、眠り続ける。
「息が詰まる」
つつっと男の頬を雫が伝う。薄暗い部屋では反射する光源もなく、ただ頬を濡らしたそれは、一斤染めの着物へと染みを残した。
こつこつと工夫を凝らして、より良い生活を夢見た先代たち。そしてそれが報われてきた。
いまは、どうだろう。工夫を凝らしても、虚しいだけ。生活の質が向上するどころか、悪化の一途を辿る。
健全な心がどこかへと消えて、ただ社会を回す道具となって。
「心は、どこにいったのだろう」
生きるのに必死で。心の充実などどうでもいいと、食べられればいいとそういう時代からすれば『甘えている』といわれても仕方のない悩みなのかもしれない。
それでも、いつどこで誰がこちらの悪評を言い触らしているかわからないこの時代に、脅えずに過ごせという方が無理なものだろう。
あっという間に世界中へと拡散されてしまう。悪意のあるものに暴力的な力を齎す時代。
知らなければよかったと、そんな風に思う。そんな悪意の塊を知らなければ、もう少し安穏としていられたのかもしれない。
いつもどこかで監視されて、ちょっとしたミスを論い嗤われて、それが周囲に拡散して己の評価を下げてしまう。
日々を真面目に頑張っていても、他人の陰口をいうひとが、いつ自分を標的にするかわからずに脅える。
そのひとのことを『信用できない』と認定しても猶、そのひとから伝わる噂で他の大切にしたい関係が壊れてしまうのが恐ろしい。
「窮屈だ」
よりよく生きたい。そう願って発展してきた人間社会のはずなのに。
何も考えずに、ただ歯車として生を消費する毎日。誰かの娯楽のために消費される精神。
男は奥歯を噛み締める。
誰の愚痴も聴きたくない。誰の批判も耳に入れたくない。ただ、ただ自分らしく生きたいのだと、それだけなのに。
「たったそれだけの願いが」
受け入れられない。
自分らしくありたい。それなのに、怖い。
本当の自分などとうに見失ってしまって、何をしたいのかさえもわからないというのに。
ただ、渇望する。己を取り戻したいと。
「・・・・・このままではだめだ」
何かを変えなければならない。
そのためには、ここにいることはできない。
主張や提言が全てなかったことにされるような、この場所では叶わない。
まずは、環境を変えることから。
自分を取り戻すことができるなら、全く未知の場所へと飛び込むことも厭わない。
何も変えようとしない、変わろうとしない、新しいことに対して拒絶するこの場所ではいけないのだ。
「ここでは、だめだ」
見切りをつけるなら早い方がいい。
見失った自分を、取り戻すために。
男は着物を箪笥に戻すと机に向かった。
***************
お題: 『自分を取り戻すことができるなら』『ゆるし色』『つつっと』
お題提供:たんぽぽ様
思ったよりもシリアスになってしまいましたが、書いている間にするすると出てきた言葉たちです。
知らない単語を調べている間もたのしかったです。
ありがとうございました。
*手違いで一度削除してしまったため、再UPになります。
コメントも同時に消えてしまいました、申し訳ありません。
それが君の名前なら
喜んで僕は呼ぶだろう
それが君の想いなら
喜んで僕は受けるだろう
青い空を流れる雲が
くっきりと線を残さずとも
誰かの想いが形にならなくとも
その存在は確かにそこにある
夢路の果てに願いごと
繰返し唱える祝詞のように
涙を流しながら指を絡め
星の瞬きに希いごと
言の葉の意味を探るように
誰かの想いの裏に思いを馳せても
なにが正解なんて僕にはわからない
伝えてもらわなくちゃわからない
言葉にするのが困難で
上手く伝わらないかもしれないのが怖くて
誤解をされることが不安で
消耗するから伝えるのも諦める
纏まらない頭の中を
誰かに伝えるために消耗して
明日を生きる元気さえも
伝えなきゃと思うと喪われていく
あふる想いは誰に伝えるでもなく
誰かに伝わればいいとそんな風に
誰に伝わらなくともいいと
強がってみて自分に伝える
交わりたい 交わりたくない
知ってほしい 知られたくない
こんなごちゃまぜの思考を
こんな混沌とした想いを
伝えなきゃと思うことが重圧で
喉まで出かかった言葉が消えていく
涙が出て声は嗚咽交じりに
真意は誰にも伝わらない
夢路辿って 這い寄る混沌
にやりと笑って また掻き消えた
時に優しく 時に悪戯
強制参加の 罰ゲーム
苦しみっていつかは薄れていくのかな
記憶だっていつかは消えていくものだし
そっと触れた箇所にある 思い出したくもないもの
ざくりと開いた傷口 笑い声が響いてる
やっと見つけた出口の 鍵は開いているのに
この先に何があるのか 何もわからないのです
当り前の いつもの日々を
取り戻したいと 願ったはずなのに
いつの間にか 慣れてしまった
あなたと遊ぶ 罰ゲーム
「響き」「ぶな林」「アガパンサス」
2016年9月2日 ネタ帳 コメント (2)どこからか吹く風が、耳に不思議な響きを連れてくる。
歌うような、笑うような優しい音。
黄金に色づいた麦がざわざわと揺れている中に、紛れるようにして聴こえてくるそれに導かれるようにして、脚が動き始める。
直感を信じて、心に素直になって、などと耳触りの良い言葉が聴こえてくるようになり、男はどこか居心地の悪さを感じていた。
和を乱さず、他人を思いやり、自らを制し、協力してことを成す。そんな価値観の中ずっと育ってきて、そして社会に出てからもそれが必要だと学んできた。
先人たちは寧ろ和を乱すものは殺してもよいという考えであったし、苦労は買ってでもしろ、という教えさえあった。
直感を信じて、心に従っていては、ひとは楽な方へと流れ、犯罪に手を染めてしまう。まっとうに生きるのであれば、自身を律しなければならなかったのだろう。
平和な時代に育った男は、犯罪に手を染めようとは思わなかったし、染めなくとも生きることができた。
自分を律することは善と教えられ、心を出して欲を口にすれば我儘だと叱責される。たまには折檻もあった。
叱責されれば気分が沈み、折檻されれば傷が治るまでは痛む。
そんな目に合わないための自己防衛手段が『己を出さない』ということだった。己を出せば何かしら自らに不利益なことが起きる。ならば、初めから出さなければよいではないか。
「・・・これは」
そんな価値観をもった男であったから、何故自分が歩きだし、あまつさえ走り出して聴こえてきた響きを探しているのか、理解しがたかった。
大人になり、叱責されることも、ましてや折檻されることもなくなったというのに、男はいまだ自分を律し、心を開くことをしなかった。
蓋をした心からは何も聞こえず、何も感じず。時折無性に息苦しさが襲ってきても、それを口にすることは習慣からすべきでないと感じていた。
のたうちまわるほどの苦しみでも、一夜明ければ必ず朝が来たのだ。そうすれば社会の一員として、歯車として、働かなければならなかった。
生きるための賃金を、生きるには少し窮屈な世界で稼ぐのは、心を殺していなければ務まらなかっただろう。
何かを感じ、劣悪な環境なれどなんとか希望を見出し、己を信じて努力をした結果、裏切られて絶望する。そうして壊れていったものたちを幾人も見送り、自分は淡々と毎日をこなした。
ブナの林の小枝が風に揺れてカサカサと音を立てている。何か秘密の会話をしているかのように、囁き合うようだ。
その中でも微かに聞こえてくる響きは、やはりいま男が向かっている方向から聴こえてくるようだ。確信に満ちた想いが男の胸にある。
川で遊んでは駄目。遠くへ行っては駄目。夕方には帰ってこなければ駄目。どこに行くのか先に連絡しなければ駄目。
子供の頃の禁止事項は、好奇心を殺さなければ護ることは困難だっただろう。
考えて行動しろ。いちいち訊くな。勝手なことはするな。相談位しろ。
大人になってからの理不尽な抑圧は、首を縦に振らなければ首を切られ、そのままの足で踏み台に登り、梁に括り付けた縄で首を吊らねばならない。
そうして、長い間雁字搦めの鎖に繋がれたまま、心の在り処など求めず、男は過ごしてきた。
薄暗いブナ林は、変わらず秘め事を囁いている。
「・・・・・・あ」
視界が開けたところで足を止める。
夕陽と共に薄紫色が視界いっぱいに広がる光景に、思わず息を飲んだ。
百合の花によく似た小さな花は、寄り添い合うようにして風に揺れる。そして歌うような、談笑するような、やわらかな響きは大きくなっても心地よく鼓膜を震わせる。
『もう、大丈夫』
『これでいいんだよ』
『誰もあなたを責めないよ』
『ほら』
男の頬を生温かいものが伝う。
何だろう、と思って、自然に体が動いて。
陽も大分傾いて、いつもであれば誰も迎えることのない家に着いている時間。
誰に連絡することもなく、誰に相談することもなく、ただ『気になった』からここまで来た。
振り上げる手も、鼓膜を直撃するあの声も、もうない。
「うぅ・・・・・・」
泣いても、「うるさい、これくらいで泣くな、男だろう」といわれることもない。
男は屈みこんで、己の身を思い切り抱きしめた。
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お題:「響き」「ぶな林」「アガパンサス」
お題提供:たんぽぽ様
ちょっとばかり(?)内容が暗くなってしまいましたが、
これだ!って思ってから面白いくらいにすらすらかけました。
ありがとうございました。