雨音。

2008年6月19日 ネタ帳
 
 
 
 
 しとしとと昨夜から降り続く雨はまだやむ気配が無い。
 一度夜半過ぎに強い雨へと変わったけれど、それでも猶、降り続けている五月雨は、私の気分を憂鬱にさせていた。
 じわじわと湿度を上げるその雫は、不快指数をもどんどんあげているようで、雨が降ったときのあの清涼感は感じられない。
 滝の傍に居るような、マイナスイオンを感じるような霧雨ではないし、かといってバケツをひっくり返したような大雨でもない。
 ただただ降り続けるだけのその雨は、縁側に座っている自分の目の前に小さな水溜りを作っている。
 雨樋に溜まった雨がぼとり、と音を立てて地面に落ちた。
 跳ね返った小さな飛沫が、音も立てず十分にお湿りをもらった地面に吸い込まれていく。
 一週間ほど前から咲き始めた紫陽花は土壌のせいか、青みを帯びた紫色で、確か玄関先にあったのは赤みを帯びた花だったように思う。
 どちらがアルカリ性で、どちらが酸性だったか。
 遥か昔に習ったような気がするが、いまいち記憶がはっきりとしない。
 でも、それを知らずとも生きてはいけるのだから、人間とは。
 
 いつか見た真っ青な紫陽花や真っ白な紫陽花はきっと種類が違うのだろうけれど。
 
 何とはなしに庭を見るけれど、そこには変わらず、むき出しになって湿りを帯びた砂地と、その向こうに季節の植物が並んでいる、いつもと同じ風景。
 否、いつもと違うのはこの雨。
 初夏を迎えた庭に植えられた木々は、その葉をめいいっぱい茂らせ、その葉の色を濃くしている。
 雨の匂い。
 嫌いではない。けれど湿度が高いと息がしにくいのは体質のせいか。
 今はスーパーに行けばいくらでも季節外の果物がみずみずしい状態で手に入るけれど、左奥に植えられた、旬の木になってまさに熟れ始めている枇杷ほどみずみずしいものは無いだろう。
 
 目の前の水溜りに視線を落とす。
 途端にぼとりとまた雫が落ちてきて、波紋を広げた。
 むき出しの地面のせいで土が溶け出し、透き通った色ではないが、確かに歪んではいるが自分の顔が映っている。
 波紋が収まるに連れ、輪郭さえ明確に映し出す水鏡に、ためいきをつく。
 
 日本で生まれ、日本で育って、日本が大好きだ。
 だけど自分のこの瞳は嫌いだ。
 黒髪に、黒と見紛うほど暗い青。
 母が云うには、ラピスラズリの様に、日本で云う瑠璃色をした瞳は、ある時からずっと、暗く濁っている。

 別に目に障害があるわけじゃない。
 そうではない。ただ・・・・・・
 
 
 深く息を吐いて、そして上を見上げる。
 相変わらずの曇天だが、少しだけ太陽の光が透けてきた。
 そろそろこの雨もやみ間を迎えるだろう。
 
 
 ただ、この胸に広がる波紋と、目を閉じれば聞こえてくる雨音を残したまま。
 
 
 

 
++++++++++++++++++++
 
 
何か変な話だ。後は皆様の想像にお任せします。
家の紫陽花は青系ですね。ちなみに枇杷は玄関先にあります。
今はきゅうりがものすっごい勢いで大きくなってます。
ちょっと前までアスパラが頑張ってたんだけど、過ぎたかな。
 
 
ちなみに夏みかんは年がら年中なってます。
去年のが落ちないままなんですよね。
 
 
お題:『紫陽花』『瑠璃色』『みずみずしい』
お題提供:たんぽぽ様
 
えーと、瑠璃色は2回目ですね。
本のサイトで書きましたね、えぇ。
確か瑠璃色の宝玉とか書いた気が・・・
二次創作でしたが。
 
 
そろそろ創作意欲がわいてこないかなぁ。
二次じゃなくてオリジナルが書きたいよぉ。
SSじゃなくて長編。
 
 
 

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