お隣のひまわりが今年も背伸びして太陽に向って咲いている。
 今日は登校日。久々の学校は億劫だけれど、それでも楽しみなのは何故だろう。
 自然と進むペースが速くなって、段々と同じ制服の見覚えのある人が多くなる。
 
「おっはよー!」
 
 ぽんっと肩を叩かれて、驚いて振り向くと、そこには親友の顔。
 私もにこりと笑って、それに挨拶を返すと、再び並んで歩き出す。
 
「もぅ、夏休みまで学校行かなきゃ行けないなんて!」
 
 と親友はちょっとご機嫌斜め。
 彼女とは小学校からの友達で、気心も知れている所為か、心が和む。
 当然夏休み中にも何度も会っているわけだけれど、やっぱり学校で会うのと外じゃ、全然違う。
 
「よぉ」
 
 そんな時、聞き覚えのありすぎる声が後ろから聴こえて、条件反射で振り向いた。
 
「お・・・おはよう!」
 
 あ、マズイ。力が入りすぎた。
 そんなのも気にしていないのか、彼は親友とにこやかに会話している。
 そして感じる、ふとした違和感。
 
「あ、あれ? 背、伸びた??」
「おー、おー、伸びた伸びた。
  なんてったって俺様成長期だからな♪」
 
 か、会話が成立しちゃったよ!!
 そんなことに感動を覚えながら、暑いねー、と手で顔を仰ぐ。
 ヤバイ。顔、赤いかもしんない。
 親友はそんな私に、ちょっとにまにました視線を送りつけてくるので、背中をバシンと叩いておいた。
 もちろん、いつもより強めに。
 
「何すんのよー!」
 
 抗議の声が聴こえるが、それには笑って。
 
 親友と彼は仲がいい。確か部活が一緒なのだっけ。
 帰宅部の私とは縁遠いな、とちょっとだけ遠い目をしていると、ふいに手を引かれた。
 途端に住宅街にある狭い道路を車が徐行せずに走り抜けていった。
 
「ったくあぶねーなぁ」
 
 心底呆れた表情をする彼は、だいじょぶか?と問いかけてくる。
 それに、ぶんぶん縦に首を振って肯定すると、安心したような笑みを向けられて。
 
 うーわー!どうしようどうしようどうしよう!!!
 
 心の中は大混乱だ。
 それでも、云わなきゃいけないことがある。
 助けてもらったのだから、そりゃ、云わなきゃ人としていかんだろう。
 
「あ、ありがとう!!」
 
 思いっきり声を上げたつもりだったが、それでも勇気のない私の声は小さくて。
 それでもそれをきちんと聞き取ってくれた彼は

「気にすんなって。お前に怪我なきゃ、それで良い」

 そういって笑ってくれた。
 
 
 どうしよう。今日一日で彼の笑顔をたくさん見てしまった。
 この先3年分くらいの笑顔かもしれない。
 藍色に染まった空を見上げて、はふ、と息を吐く。
 ホントは心に留めておこうと決めていた。
 なんせ初恋だし、初恋は実らないから美しい、とか云うし。
 でも、やっぱり、この気持ちに嘘をつくのは、私にはできない。
 だって、彼の一挙一動にこんなにもドキドキする。
 彼が誰かを好きでも関係ない。やっぱり、諦め切れない。
 
「あ、一番星」
 
 明日もきっと晴れるだろう。
 次の登校日が今から楽しみだ、なんて、現金なやつ。
 
 
 

 
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お題:『ひまわり』『あきらめきれない』『藍色』
お題提供:たんぽぽ様
 
 
 
別バージョン。
恋する乙女の気持ちは、少女マンガでの知識しかありません。
初恋すらまだだもーん。
 
 
 
 

コメント

nophoto
たんぽぽ
2008年7月24日20:24

いいですね〜っ!
こころの動き、どきどき感が
たまりません。
彼、いいですね〜っ。ほんとうがわかっている人ですねっ。

ではっ。晩御飯作ってきます!!

k
稚維
2008年7月24日20:49

♪たんぽぽさん
あはは、気に入っていただけて良かったです!
たんぽぽさんは恋愛物がお好きなようでしたので
(あれ、違いますか?コルダの二次を書いてたときに喜んでくださってたので)
恋愛経験ないですが書いてみました。

はいっ!美味しい晩御飯作ってきてくださいっ!
コメントありがとうございましたっ!

nophoto
たんぽぽ
2008年7月24日23:34

はいっ。恋愛物、大好きです。
それも、片想いとか、好きになる始まりとか
まだ好きかどうかわからないくらいのどきどき感が好きです。(いったい、お前は何歳だ?)

美味しい晩御飯作りました。(自分で言うなですよね)
k

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