梅の香 梅の花ほころぶとき
2009年4月15日 ネタ帳 コメント (1)ひらり、ひらりと舞い落ちる花弁を、その軌跡を追うようにして空を見上げた。
風向きは東南。自分が歩いている方向とは逆の方向へと首をめぐらせた青年は、そこに広がっている景色にほうっとため息をついた。
「これはまた季節外れだな」
舞い落ちる梅の花は、もう時期としてはとっくに過ぎていて。
紅梅が既に落ち切っている中で、白梅だけが未だに枝に居座り続けていた。
季節は春。
時期としてはもう桜が咲き始めていい頃だ。
時期もあるが気温としても、芽吹きには丁度いい頃合だろう。
どこかに桜は植わってないものか、と右へ左へと視線を動かすが、それらしき樹は無い。
梅は季節はずれだというのに、高まで神々しく咲き誇られては、それもまた良いか、と想ってしまう。
桜の花弁がピンク色なのは、その木の下に死体が埋まっているからだ、と何かで聴いたことがある。
そんな馬鹿な話があるものか、とさえ想うが、何故こんな話を思い出したのかさえ思い出せない。
自由にならない思考回路の奥の方で、何かが聴こえた。
「・・・・・・?」
聴き間違いだろうか。
青年はそう想って、もう一度辺りを見回す。
『おんしの血は美味そうじゃの』
コメント
季節はずれの白梅
青年と始祖様・・ですね。
続きを楽しみにしてます。