海梨さんは帰国子女です。
高1の夏に日本に帰国、9月から高校生をやりました。
10月の体育祭の後、疲れが抜けず、45分の自転車通学も無理が来て
(当時父まだアメリカのため、車なし)
ガタガタと体調が悪化。吐く、食べれない→急性胃腸炎で入院。
入院することは、海梨さんにとって日本では珍しいことではありません。
小学生の頃は入退院を繰り返し、挙句の果てには5年生の通知表はもらえなかった。
4年生のとき初めて入院したのは肺炎でした。勿論持病の喘息の治療はありましたが。
絶食治療、24時間点滴を1週間。熱も下がったので帰ってよし、とのことで
次の平日から学校に行ったんです。学校に行くことは、いいことでしょう?
だけど、それがどうもまずかったらしいのです。
小児科の主治医曰く、『何ですぐ学校に行ったんですか。まだ家で休んでなきゃいけないのに』
海梨さん、はっきりいって、意味がワカリマセンでした。
学校に行くことはいいこと、だと思っていたのに、身体は少々しんどいけど頑張ったのに
褒められこそすれど、叱られる理由がどこにあるんだろう、と。
今にして思えば、入院するほどではないが、家で安静にしていてくださいね、ということ。
そういうことなら、ちゃんと説明してください! と思いませんか?
『退院はできますが、暫くはご家庭で様子を見てください』とかちゃんと説明があって然るべきかと。
それがないと、何の知識もない素人は、学校に行っちゃいますよ。
その後、学校に行くこと=いいことの等式があやふやになってしまって
自分の中の価値観がよく解らなくなって、不安定な状態が継続。
4年生の頃はまだなんとか頑張って行っていたのですが
5年生になってからは、散々。1ヶ月に1日出れば良い月もありました。
本気で体調が悪かったのですが、それを疑問に思わない、誰にも相談しない親もどうなのかな、と。
あまりにも症状が続くので、小児科の先生に質問されたことがあります。
『学校で何か嫌なことがあるの?』と。
海梨さんはしばし沈黙したのを憶えています。正直に答えても、信じてもらえないだろうから。
無難な答えを選ぶ癖を身に付けていた海梨さんはこう応えました。
『学校を休んでいて、勉強の遅れが気になる』
もっともらしい答えです。間違っていません。自分の気持ちの数%にも当てはまります。
本当のことを云っても信じてもらえないと思った原因ですが
『通学途中の橋の上で吐いてしまう。排気ガスが気持ち悪い』と云った事があるんです。
海梨さんの登校時間は、丁度通勤ラッシュ時で、通学路はどうしてもメイン道路を通ります。
そこの交通量は半端なく、当時のことですから今と比べて排ガス量は多いです。
普通の人なら気にならなかったかもしれませんが、海梨さんにとってはかなりキツイ。
それを正直に話したのに『排気ガスが気になる? 気のせいじゃない?』と一蹴されました。
多分、先生にも悪気はなかったとは思うんです。
でも、この先生に本当のことを話しても無駄だという気持ちを芽生えさせるには充分でした。
多分、自分の感じていることを、本気で話しても取り合ってもらえない
そんな経験をするくらいなら、おそらく世間一般の人がいうであろう『無難な答え』を云った方が
まだ自分の気持ちのほんの少しは入っている訳だし、嘘にはならない。
それは主訴ではないけれど、自分の感覚を否定されるよりはマシだ、と思うようになりました。
自分の感覚がオカシイのはそれ以前から感じていたことですが
医者に否定されると、本当に何を信じて良いのか解らなくなってしまって。
以来、お医者さんにかかる時も異常に緊張することが多くなりました。
普通に吐いて食べられないだけの症状ならば
事務的に喘息の吸入を受け、点滴を受け、会計をし、帰ってから昼からの授業に出る。
それで良かったかもしれません。
しかし、医師を頼ることが難しいので、誰に相談して良いのかますます解らなくなりました。
その傾向は今でも続いています。
カウンセリングを受けていても、自分の云いたいことをはっきりと伝えることが難しい。
主治医のメールアドレスや番号は知っているのですが、仕事中とかオフの時間だとかを考えると
自分なんかの用件で手を止めさせるのも憚られる。
今の主治医は帰国してからの付き合いなので、9年目です。
今更、別の機関を紹介して欲しい、なんて云っても大丈夫なのか、不安。
というか、別の機関って何? という感じ。
海梨さんは一旦海外に出て、出戻りで地元に帰ってきた身なので
幼少期から海梨さんを診てくれている先生はいません。
だから、どこにも何でも相談できる医師という存在がいなくて。
元来、人間関係を築くのが難しく、その場その場で対処してきました。
今でも続いている『友達』と呼べる存在はアメリカの日本語補習校で知り合った友達。
でも彼女達も今、職を持っていて、自由な時間は限られていて
いつ連絡して良いのか、相談ってして良いのか、良く解らないんです。
集まったときは、大概好きな趣味の話になるので、リアルの話は殆ど出ません。
彼女の話しは聴くのですが、海梨さんから話すのは、どう説明して良いのか解らなくて。
海梨さんはアウトプットは文字、しかもタイピングが一番得意です。
声にしようと思うと、何段階も普通の人とは違うステップを踏んでしまって
結局考えは相手を気遣うあまり、声にならないまま、曖昧にごまかして。
こんなこと云ったら困るかな、こんなこと相談されたら戸惑うかな
何でこんなことも知らないのって呆れられるかな、そんな不安でいっぱい。
言葉を発生するタイミングとかもうまく取れなくて、どこでどう切り出せば良いのか
それが本当に正しいタイミングの取り方なのか、それすらも解らず。
自分で話をしているうちに、自分で云っていたことと、相手の云っていることの矛盾点に気づいても
それを指摘する(誤解だよ、という)勇気も持てず、なんだか遠回り。
文章を書いていると割りと理解されやすいのですが
口に出して物を云うと、捻じ曲がって理解されやすいという特徴があります。
相手の時間を拘束したくないので、端的に説明しようと心がけているのですが
それがどうも、言葉足らずになってしまうみたいで、誤解を招くようです。
口に出す前に、一旦頭の中で文章にしてみてはいるのですが、それがうまく伝わらない。
誤解される、という体験は、何度も繰り返していますが、それが慣れることはなく
何だか、フラッシュバックではないですが、再体験を繰り返しているようで。
それがどうしようもなくもどかしい。
フツーの人はこんなことでは悩んだりしないのかな。
それともこんなことで悩むのもフツーのこと?
16の時から心療内科で、自律神経失調症→社会不安障害と診断を受け
『ゆっくりね』『焦らずね』と云われてきたけれど、そろそろ10年一昔になってしまう。
それに、原因は別の所にあった可能性が高い。(確定診断ではないため可能性が高いに留める)
ならば、確定診断を受けた方が自分の特性も理解しやすいんじゃないだろうか。
でも、その確定診断を受ける医療機関ってどうやって探すの?
というか、病院って転々として良いの?
電話を自分でかけられる?
第一声はなんていったらいい?
どんなことを聴かれる?
途中でパニックになったりしない?
不安でいっぱい。
コメント
私は幸い、空気の綺麗な、そんなに人との付き合いがなくても大丈夫な環境で育ったもので、気持ちも分かる、とまではいかないのですが、
排気ガス、文章と話の、言葉のインプットとアウトプットの違い、
退院後、すぐに学校に復帰できなかったことへのいら立ち・・・、
等々、共感するところがあります。
アスペルガーという文字は、以前新聞で読んで以来、気にはなっていたのですが、私もそうなのですかね・・・。
焦ることはないと思うんだけれどね、でも、海梨だけの居場所を、見つけられることを、祈っています。
いえいえ、コメント嬉しいです♪
この文章自体は別にアスペルガーと関係あるかといわれれば微妙なんですが
先生に、『稚維ちゃんの年齢でこの問題が解けないのは問題だよ』といわれた
心の理論の問題があるので、そっちは、私の考え抜きで、解こうと思います。
私じゃなくて、みんなはどう思うか、って話で。
ちょっと、自分からはなれて考えなきゃ、あの問題は難しい。(お前だけ)
『サリーとアンのテスト』で検索すればでてきます。
引っかかっちゃう私も私ですが、答憶えちゃえば大丈夫(憶えたら意味ない)
『アスペルガーのひとでも成人すれば、サリーとアンレベルは答えられるようになるんだけどね』と
苦笑されたのがついこないだの話です・・・・・・
ネットに載ってた別の問題といたら、また引っかかってしまいました。ダメだなぁ。
文章でこれなら、口頭だともっと難しいぞ・・・・・・
私だけの居場所、見つけられるように頑張ります。