「ミモザ」「ふにゃふにゃ」「結ぶ」
2013年3月18日 ネタ帳 コメント (2)「ねぇねぇ、見てー!」
あの香りを嗅いだのはいつだったか。
遠い記憶を呼び覚ます、鮮やかな黄色。
ゆで卵の黄身で作られたソレは、確かに記憶の中の植物にそっくりだった。
「懐かしいね」
自分たちが最初に出会った場所にもミモザが咲いていた。
正確には、ミモザではなく、フサアカシアらしい。
その証拠に、葉に触れてもお辞儀をしなかった。
葉の形状が似ているソレをどこの誰が間違ったのか、それは知らないが、少なくともミモザだと認識していた。
周りも似たようなものだから、植物学者以外は、そんなにこだわって植物を呼ぶこともないのだろう。
別れた女性は、真の強い、まっすぐなひとだった。
それでも薔薇のような棘はなく、曼珠沙華が一番彼女らしかったかもしれない。
ミモザのイメージは、目の前にいる彼女だろうか。
ふんわり、優しく、香り高く。
それでも触れればふにゃふにゃと身を縮ます、オジギソウのような。
笑顔の優しい、それでも、どこか頼りない―――
出会って、離れて、再会して。
どれだけの時を共に過ごしたか。
もう、思い出すのも億劫になるほどの時間を共有し、そして結ばれた約束。
彼女の笑顔のためにと絡められた指は、未だに解かれることはなく。
「あぁ、食べるのがもったいない」
自然と口角が上がってしまう。
長い時間一緒にいても、気づかないことはたくさんある。
それでも、考えていることは伝わってしまうこともある。
はたして、いまのは彼女に伝わっただろうか。
愛しくて、愛しくて
その花の匂いをかぎたい
愛しくて、愛しくて
その花の葉に触れたい
愛しくて、愛しくて
その花の名を呼びたい
愛しくて、愛しくて
その花の蜜を吸いたい
卵の黄身のサラダは、食べてしまえば目の前から消えてしまう。
そんな当たり前のことを考えてしまうくらいには邪な生き物。
だから、大事に、大切にしたいと思う。
また一緒にミモザを見に行けるように。
大事にしていきたい。
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お題:「ミモザ」「ふにゃふにゃ」「結ぶ」
お題提供:たんぽぽ様
久々にシリーズではなく短編。
なのに、久々なのに少しR指定ですみません。
ぼかした上に白文字なので許してください。
なんでだろう、何年経っても、大好きで触れていたい。
そんな気持ちを持ち続けられる関係って素敵だな、って思ったら
そんな表現になりました。
うん、無色透明に近い感じですが、一応個人的に頑張った・・・!
ふんわかプラトニックも大好きですが、らぶらぶも大好きです。
ほんのり切ないのも大好きですが、らぶらぶも大好きです。
たんぽぽさん、お題ありがとうございましたー
コメント
お題で、書いてくれたんですね!
とっても書きにくいお題でしたのに
こんなに自然な物語に。
ミモザと卵の黄身のふわふわ・・・
似てますね~!
私も、プラトニックも、らぶらぶも大好きです。
がんばってくれて、ありがとうございました。
読んでくださってありがとうございますー
ミモザサラダ、というのがあって、画像検索すると出てきます^^
一番最初に【ミモザ】という言葉を知ったのが
実は植物ではなく、サラダの方でした・・・
いつも楽しんで書かせて頂いてますv
また、お題くださいねー!