ひらり、ひらりと舞い落ちる花弁を、その軌跡を追うようにして空を見上げた。
 風向きは東南。自分が歩いている方向とは逆の方向へと首をめぐらせた青年は、そこに広がっている景色にほうっとため息をついた。

「これはまた季節外れだな」

 舞い落ちる梅の花は、もう時期としてはとっくに過ぎていて。
 紅梅が既に落ち切っている中で、白梅だけが未だに枝に居座り続けていた。

 季節は春。
 時期としてはもう桜が咲き始めていい頃だ。
 時期もあるが気温としても、芽吹きには丁度いい頃合だろう。
 どこかに桜は植わってないものか、と右へ左へと視線を動かすが、それらしき樹は無い。
 梅は季節はずれだというのに、高まで神々しく咲き誇られては、それもまた良いか、と想ってしまう。

 桜の花弁がピンク色なのは、その木の下に死体が埋まっているからだ、と何かで聴いたことがある。
 そんな馬鹿な話があるものか、とさえ想うが、何故こんな話を思い出したのかさえ思い出せない。
 自由にならない思考回路の奥の方で、何かが聴こえた。

「・・・・・・?」

 聴き間違いだろうか。
 青年はそう想って、もう一度辺りを見回す。
 
『おんしの血は美味そうじゃの』

 
 
 
 
きちんと人に受け容れてもらいたい。
 
傷つくことに慣れても傷つかない人間じゃない。
 
ちゃんと理解して欲しい。
 
それはあなたに。 それは自分自身に。

理解しようとせず考えを押し付けるならば

そこから自分は逃げてしまうから

お願いだから安心感を先にPlease

受け容れてもらった理解してもらった感覚が

自分にとって何よりの癒しになること

大好きな人から大好きだといわれること

大好きな人の幸せを祈りながらも

置いていかれることに恐怖と不安と焦りを抱いていること

成長、できない。

お願いだから、易しいキッカケをください。

自分でもできる、易しいキッカケをください。

今の自分にできることはとても少なくて

苦しくて寂しくて悔しくて気持ち悪くなって

何もないんだな、と 全てが無に帰す。

呼んでないよ シニタイクン

暴れまわらないでよ シナナキャさん
 
 
 
 
一番傍にいるあなただから 理解して欲しいと願う。
 
 
  
 
 


 
 
 
 
夢見てそれ追いかけてるときでも
ときどき哀しさや苦しさで立ち止まりたくなるよ
君の瞳を見つめて ねぇ そう想った
 
何かのためや誰かのためじゃなく自分のために
犠牲になるものは決して少ないとは云えない数で
ふとした瞬間に今まで糧としてきたものが壊れて
そこから一気に落下する速度に目を閉じるんだ
 
自分を傷つけて 他人を傷つけて 親友を傷つけて
ちっぽけな僕の世界は誰も救いはしないかもしれない
自分を貶めて世界を儚んで親友を救いたいと手を伸ばしても
きっとちっぽけな僕では届かない 君の手まで

大きくなろうと背伸びして 大人になろうと無理をして
失ってきたものが多すぎて 振り返ったら何もない
今君はどうしているの 僕の声 届いてる?
失ったものが多いから君には失って欲しくないよ

僕のちっぽけな心は
ちっぽけな世界の一部でしかなくて
これから世界の荒波漕ぎ出す君には
何一つとして必要なものを差し出せないけど
 
ただ願うよ 君の見る未来が 君にとってわくわくするものでありますようにと
 
 
 
願いが叶うとき そばには居られないかも知れないけれど
一緒に喜べないかもしれないけれど
寄り添うことすらできないかもしれないけれど
君が進むなら僕は残るよ 帰る場所 要らないかもしれないけれど
 
 
君と僕とが離れているように
多くの人たちが友達と離れ暮らしてる
その日常の中僕を思い出してくれる時間はどのくらい?
僕はいつでも君を想ってる って云ったらストーカーくさいかな
 
 
夢見ること忘れずに 怖がりでも無鉄砲で
そのまま突き進め 君の未来を得るために
僕は僕でこの場所でお帰りって微笑むために頑張るよ
頑張ってる君に胸張って笑えるように
 
 
 
 

 
 
 
 
 
感情感覚が麻痺してる
あなたの偉大さはわかっても
あなたはあなただったから
 
 
寂しいのか哀しいのか
そこから抜け出さなくてはいけないのか
 
 
何だか現実と自分の境界線が曖昧で
すべてがぼやけて視える
 
 
感覚が 感情が 思考が
すべてがぼやける
 
 
失くしたものの大きさが
僕をそんな境地に立たせるのか
失くしたものの大きさが
僕をそんな風にさせるのか
 
 
わからなくなる
何が大切で 何が重要で 何をすれば良いのか
 
 
僕は一体これからどうやって生きていくのか
僕は一体これからどうやって・・・・・・
 
 
生きるべきなのか死ぬべきなのか
それすらも曖昧で
 
 
それでもひとつ確かなことは
 
 
連れて行ってもらえなかった哀しさが
一段と強くなっていること
 
 
この何にもない僕に
生きる道標はないから
すごく生き難い
それが広がってる
 
 
疲れているんだってことはわかる
それでも何だかやるせなくて
 
 
独りでは生きられない
だけど誰かと生きていくことは怖い
 
 
じゃぁ 死んでしまえば良い
こんな短絡的な思考方法 あなたは望まないのに
 
 
 
ねぇ一体僕はどこで道を踏み誤ったの?
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
お骨は戻ってくるけれど
それは一年以上先の話
献体したのだから それも仕様がない
本人の遺志なのだから
 
 
 
それにしても落ち着かない
ありがとうの言葉 云えないよ
僕には云う資格が無い
僕の中には後悔でいっぱいだから
 
 
あれができなかった
こうしてあげればよかった
もっとお話すればよかった
あぁ あなたにはたくさんのごめんなさいしか贈れない
 
 
ねぇだからせめて

笑っていて欲しいんだ
 
 
 
 
 


解放

2009年2月6日 ポエム
 
 
 
 
苦しみの連鎖から解き放たれて
今あなたのことを想います
延命治療は望まなかったけれど
日に日に短くなっていく余命宣告に
あなたの大きさを改めて想う
 
 
僕にとってあなたは癒しでした
それでも今の僕はあなたでは癒されません
どうして連れて行ってくれなかったのか
一緒に行きたかったのにどうして連れて行ってくれなかったのか
そんな身勝手な想いでいっぱいです
 
 
本当なら僕がずっと傍についていたかった
帰ってきてからずっとあんまり話していなかったから
意識がないと判ってはいても
あなたの傍で眠り あなたの傍で話し
あなたの手を握り あなたが呼吸していることを
自分自身で長く感じて痛かったのだけれど
 
 
やはり孫よりも子どもですよね
僕がわがまま云っても仕方がないから
聞き入れてはもらえないだろうから
僕は少しでも長くあなたの傍に居たかった
でも僕の身体も云うこと聞かなくて
 
 
あなたがここに帰って来ると信じて
僕は僕の心と身体の静養に努めたけれど
結局あなたは僕に最期すら看取らせてくれなかった
 
 
もうちょっと長く居ればよかった
もうちょっとわがまま云って長く居ればよかった
そうすれば あなたの旅立ちに立ち会えたかもしれないのに
電話が鳴る 準備をしている間に あなたは旅立った
見送りは独りだけ あなたの娘だけ
 
 
僕は必要なかったですか
僕はあなたともう少しでもいいから一緒にいたかった
できれば一緒に連れて行って欲しかった
いつまでも一緒なんてことありえないのに
 
 
苦しかったでしょう つらかったでしょう
あのひとよりは色んな管には繋がれなかったけれど
苦しかったでしょう つらかったでしょう
生という名の呪縛から解放された今
あなたは幸福ですか
 
 
笑っていてくれたら良い
 
 
そう願って止みません
 
 
自分勝手な想いばかり抱えている僕は
あなたの幸せを心から望みます
 
 
 
 
 
 

 
 
 
膝を抱えて蹲っていても
虚空を見つめ涙浮かべても
何も変わりはしない さぁ行こう
 
君を大好きな僕だから
君が大切な僕だから
一所懸命に伸ばそう
君をそこから救い出したい

重たいかもしれないって時々不安になるけど
どんな表情の君でも大好きなんだけど
でもやっぱり君には笑ってて欲しいから
やっぱり君には幸せでいて欲しいから
君は僕にとっての太陽だから

少し強引に君の腕をつかんで
少しずつ進むスピードを上げていく
風を感じて流れる景色を見て
君は今 何を想っているの?

昔した指きり憶えてる?
君が忘れてても僕は憶えてる
だからねぇ君の幸せを勝ち取りに行こう
独りじゃないよ 僕も行くから
そんなに不安な表情しないで 大丈夫
君が望んだ未来はもうすぐそこにあるよ
 
 
何か始めるには大きな勇気が必要だって
気づいた君にご褒美あげよう
思いっきり笑える場所に 思いっきり楽しめる場所に
連れて行こう 自分を解放できる場所に
頑張った君へのご褒美だから
 
 
夢を追いかけたくなるまでまだ眠っておいて
それが君には今必要なことだから
だからまだ今は ここでお休み
 
元気が出たらねぇ さぁ 行こう
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
自分だけじゃないってことは充分理解しているけれど
この閉塞感をどうにかしないことには
次のステップへと進めないことがはっきりとしている
 
 
思考がぼやける
嫌な感情だけが溜まっていく
心穏やかに過ごせない
 
 
沈みすぎてどこが底なのか解らない
 
 
 
誰かに甘えたい
でも今みんな手一杯
これは僕の我侭だから
 
 
誰も僕を見てくれていない
僕はみんなを見ているのに
助けたい気持ちは同じなのに
 
 
支えきれない
僕の腕が小さすぎて力が弱すぎて
みんなの不安を感じすぎて重たくてしんどい
 
 
また鍼の先生に鉄板だって云われそうだ
 
 
 
 
 

醒めない夢

2009年1月3日 ポエム
 
 
 
醒めることのない夢
それは今起きている現実
夢なら早く醒めてくれ と
自分自身に訴える
 
 
それでも醒めてはくれない夢
 
 
何もかもが現実から遠すぎて
何もかもが感覚的に遠すぎて
 
 
これが現実なのだと突きつけられてもその実感すら沸かない
 
 
醒めることのない夢
醒めてくれない夢
 
 
未だ眠り続ける大事な人を想って
そっと目を閉じる
 
大丈夫だよね?
そう問いかけても答えてくれる人は誰も居ない
誰も自分すらも答えられない疑問符
 
 
ねぇあなたは幸せですか
あなたは幸せを感じられますか
 
 

僕を大事にしてくれたあなたに
僕は一体何ができるだろう
 
 
 
  

 
 
 
 
 
何となく解ってきました。
交易は運の値の高い人で組むべし!
畑は本当に力の強い人で組むべし!
動物集めはすばやさと運の値の高い人で組むべし!
 
 
 
 
今はホツバさんが云ってた魔道の発達した国が壊滅して
11番目の世界がこっちの世界に着ちゃった所で
総長に11番目の偽書を持ってかれちゃいました。
 
 
 
と、いうか、スヴェンをいまだにパーティに入れてないんだけど
あの砦で逃げてくひと、スヴェンの想い人、だよね。
スヴェン連れてけばいいのか、ふむ。
 
 
 
 
ちなみに地獄での任務請負では
ロボット君と開発者さんを一緒に連れて行くと楽チンです。
あそこの謎の遺跡の奥に、ザインさんが居るので
起動させるのにこのお二方が必要です。
 
 
 
それにしても、まだ20人くらい残ってるんだけど。
 
 
 
せめて100人くらいまでにはしておきたいなぁ。
帝国が滅びちゃったときにあそこには108星は居なかったのか??
とすごく不安になりました。
なんか条件次第で仲間になってくれるひとが居たんじゃないかと思って。
例えばマナリル連れてくとか。
 
 
 
そう云えば『てぃあくらいす』って12宮って意味だってラジオで云ってたので
あれですね、12の世界の融合を持ってして一なる王を迎える・・・
っていうのがメインドラマってところでしょうか。
 
 
 
でもって一なる王は霧の船の船長と関係ないんだろうか。
(あの人(?)も100万世界をさまよってたから)
 
 
 
そして総長が年取ってない理由の一書の力は
ほぼ真の紋章そのもの、と考えていいんですか。
でも真の紋章自体に歴史を書き換える力は無いしなぁ。
 
 
 
個人的に真の紋章がある幻水世界が好きなので
ゲームとしては高評価でも幻水としては同だろう・・・って感じです。
 
 
 
ビッキーちゃんとジーンさんが出ないのが、ねぇ?
 
 
(ビッキーちゃんはトビラで出番ないし、ジーンさんは紋章が無いので出番ないし)
 
 
 
 
 
 
せっかく5で原点快帰したんだから
原点を突き進んで欲しかったなぁ。なんて。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
 
 
続きを始めたらいきなり帝国が砂漠になるという惨事。(をぉぅねたばれ)
 
 
 
 
なんかね、今回の幻水の仲間集めはね
モアナの所に依頼が入ってくるのをこなしてると
割と集まるんだけど、どうしよう。
こっちで勝手に集めたのって
クロデキルドさんとフレデグンドさん関係の
兄弟とあと樹海で遭難していた元侍女+冒険家さんだけだったよ。
 
 
 
今はラミン君を追っかけてます。
待て~!このいたずら小僧!!(違)
でも三浦さんは愛のサウンド劇場を作った当初
ラミン君がこんな性格捻じ曲がった子になるって判ってたのかしら。
 
 

   
 
処でご報告が遅れましたが
Fi-Wi USBコネクタ買いました。
 
 
ほんっとお前って通信なんかするもんか!とか云ってたくせに
幻水には投資するよな。573信者か。
 
 
 
でもね~、やっぱりまずかったと想うの。
武器屋さんにしたこと。
固定武器、ってとこに割と愛着があったので
武器を鍛えることに愛着があったので
装備してるキャラのビジュアルを一々変えるところよりも
寧ろ、その武器がどうレベルアップしていくのか、ってとこに手間をかけて欲しかった。
 
 
そしてホツバさんがいないとトビラが使えないのもめんどくさい。
ビッキーちゃんみたいにえいっ!って飛ばしてくれて
瞬きの手鏡で帰ってくる方法が一番楽です。
 
 
 
 
後ミニゲームとかお風呂とか畑とか釣りとか家畜とか
まだまだなんですが、せめてお風呂がほしいです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
取り敢えず叫ばせてください。
 
 
 
 
村長まできてどうすんだよ、をぃ!
 
 
 
じゃなくて、きたよデレ期!
(やはり天間星はツンデレ属性)
 
 
 
 
・・・ってことで、百万世界の狭間に飛ばされ
無事に帰ってきて撃退☆
 
 
リウが族長になってしまいましたが
まぁ、それは良くて。
つーか、リウは恋愛フラグ立ってるんだろうか、これは。
 
 
 
 
ってとこまで進んでます☆
 
 
相変わらず畑は耕せないし
相変わらず交易は失敗するし。
 
 
 
その辺の情報、何とかなりませんかね。
 
 
 

 
 
 
 
取り敢えず叫ばせてください。
 
 
 
クーーーーガーーーーーーーーーーー!!!!
 
 
 
 
 
はい、ということでやっと約束の石版が出てきました。
今回の天間星さんは、スキンヘッドの色黒お姉さんです。
相変わらずこの宿星はツン属性です。
・・・・・・・ということはデレ期もあるのか、この人。
 
 
 
今は、冥夜の騎士団の祖国を取り返そう!という所まで来ました。
 
 
ゆっくりですね。
きっともう通信もできるんですが
うち、アクセスできないし。
今度録画用のDVDを買いに行ったときに
ねだってみようかな・・・(タカルナ)
 
 
 
常時接続なので問題ないですし。
 
 
 
でもどこにあるだろう、ゲームコーナー?
 
 
 
というか、畑を荒らしてばかりでごめんなさい。
んでもって、動物さんは誰が行けばいいんでしょう。
皆平等に鍛えて速の値が速い人かな。
・・・・・・それともこれから仲間になるかな。
 
 
イクスなんて女の人仲間になるまで大分待ったし。
 
 
 
魔道師の先生といっぱい情報持ってる先生を仲間にしたいけど
条件はどうなんだろう。
魔道師の先生はアレ専用の部屋ができればついてきてくれそうだけども。
アレ、ってやっぱり幻影と戦う部屋ですか。
(帝国にあった)
 
 
 
 

 
 
 
 
 
昨日の晩少しプレイして(何が少しだ、日付変わってただろう)
今日もホントは別の予定をするつもりだったのですがそうもいかず(意志薄弱)
プレイしました。
えっと、やっと本拠地が水の畔の城になりました。
 
 
 
いままでただの古びた遺跡だったんですよ。
それがリニューアルされて、全く新しいものっぽいものになってて
辺りは水がいっぱい。本拠地の窓辺に水。
つーか、木の根っことかもあったりして
 
 
ここはどこですか、状態で本拠地探検。
 
 
冥夜の騎士団とアスアドが正式に星の印を手にいれましたっ!
ってとこまでですかね。
あ、マナリルはちゃんと奪取してきましたよ。(ぇ)
今、トビラからお客さんが来てる、ってとこで止まってます。
 
 
 
ところで真書に載っていた、幻水シリーズの主人公の名前って
確かゲンソウではなく、トビラ、って名前のときもあったような気がするんですが
アレ、なんかと混同してますか??
 
 
なんだろう。基本的に攻略本とか買わないんだけれど。
 
 
そもそも主人公に名前付けれるゲームで持ってるのって幻水だけだし。
 
 
 
・・・・・・なんだろう?
 
 
 
約束の石版も何も出てきてないので誰がどう宿星なのかわかりません。
 
 
 
 
 

ふとした瞬間

2008年12月10日 ポエム
 
 
 
 
何にもやってないと頭が狂いそうになるくらい
稚維なんか、という自己否定の感情が暴れまくる
 
それを抑えるために何かやっていないと
本当に自分自身を消してしまいそうだから
必死で何かやることを探してる
 
 
学ぶことは好きだけれど
そんな強迫観念に押されて
やってる間は集中できるから、って
でも終わったときを抜いた途端に
また何か良く判らない自己否定の感情が
自分自身を支配して
 
 
 
自己肯定なんてどうやったらできるの?
教えてよ
 
 
ずっとずっと付き合わなきゃいけないんだろうか。
 
 
 
 


敗者

2008年12月7日 ゲーム
 
 
 
 
 
 
今朝、母が伯母の教会長就任式のため
故郷に帰ってしまっているため
海梨さん、独りぼっち。
 
 
んで、今日試験だったのですよ、OPの。
 
 
朝、母に行く前に声かけられ
返事をした後、携帯にあらかじめ入れておいた時間に
目覚ましが鳴り始めたので、即行起きました。
うん、それ、母が丁度名古屋でしなのに乗る前の時間。
 
 
それで、目が覚めたら母から着信。(携帯肌身離さず行動中)
「今しなのに乗ったよ」と。
んで母上充電してくの忘れたらしく、2本しかない、と話もそこそこに。
 
 
否、良かったね、海梨さん。
昨日の夜下に置きっ放しになってた携帯ちゃんと枕元に持ってきてて。
既に寝支度した後だったのでむちゃくちゃ寒かったけどね。
階下は凍えるような寒さで、暗かった。
靴下も履いていないので、むちゃくちゃ廊下が冷たい。
そんでも踏ん張ってとってきたお陰でちゃんと
電話にも出れたし、何より目覚ましアラームが無駄にならなかった。
 
 
ちなみに海梨さんの目覚ましアラーム、残酷な天使のテーゼです。
(何故ってそれが一番やかましそうだったからだよ)
 
 
 
 
 
んで、降りてきて、とりあえず水分補給!とオレンジジュースを飲む。
海梨さん口呼吸じゃないと眠れないので、仕方ないんです。
いつも朝起きたら乾き切っていて、お茶、紅茶、オレンジジュースと
3杯飲むのが常です。今日はオレンジジュースだけだっただけでも・・・
PC立ち上げ、ちょっくらネットでも
とか何とか想っているうちに、あぁ、朝ごはん・・・と想って
昨日の残りのポトフを火にかけ、ネット。
いつもはこの作業10時過ぎてからやるんですけどね。
(更新待ってるサイトがあるので)
んで、ポトフを盛り付けて、冷ましつつ、ネット。
(海梨さんは猫舌です)
 
 
 
そんなこんなしてるうちに
携帯のスケジュールアラームが鳴り出した。(恐怖)
試験開始の15分前に、予定を入れて、その1時間前になるように設定してあるので
かなり恐怖でした。
えぇ!?もう1時間前?!と。
 
 
 
そんなこんなで冷め切った(お前温めた意味ないだろう)ポトフと
とりあえず脳内に栄養を送らねば、と甘いものを食し
更にその甘いもので渇ききった口を潤すために野菜ジュースを飲んで・・・ 
 
 
って、今日お茶も紅茶も温かいドリンク飲んでないな・・・
 
 
そんなこんなで、あたふたしていたら30分前過ぎてて
 
 
 
うっかり・・・
 
 
うっかり自分の守護石をつけずに外出してしまいました!!!
ヘマタイトの勾玉と、タイガーアイのクロス・・・・・・
いつもいつも海梨さんの不安を吸い取る役目を押し付けてるのですが
海梨さんの日の石はエメラルドキャッツアイなのですが
なかなか無いんですよね、どの店にも。
ちなみに上記に上げたのは干支の守護石とサブストーンです。
星座のほうはおしゃれ着向きなので、なかなかつけないんですよね。
 
 
 
んで、試験終了後、駅前に在る某電気屋さんに寄ったのです。
 
 
 
18900円+保護フィルム500円・・・・・・
悩んだ挙句に大枚はたく海梨さん。
だって、今日急遽入荷しましたとか書いてあるし
しかも店内放送まで入るし
どうしよう! とかなって、正常な意識もないまま
商品を手に、レジに向かっておりました。 
 
 
 
それもこれも海梨さんのお財布の中に珍しく1万円札が2枚も入ってたのが原因だ。
(お母さんに換金して、と云われて、貯金箱の千円札を出したら1万円になったのだよ)
(ということは何か?? 今現在海梨さんの自由に出来るお金は財布の中身だけ??)
 
 
 
 
今日は身につけているのが水晶だけだったので(なんかご利益があるっぽい形の)
確実にいつもよりは金運は落ちているかとは想います。(タイガーアイが金運の石)
その買ってしまった後、恨みたらしく、僻みたらしく
そこの同じフロアにあった電子ピアノ(鍵盤の重さはピアノ並み)で
「別れの曲」を2回ほどループでひいていました。(迷惑)
小指が短いなぁ、と小指で押した鍵盤の音がやけに小さいので哀しくなりました。
(内にある電子ピアノは鍵盤軽いので)
何故に『別れの曲』かと申しますと、海梨さんと万円札との別れです。
♪~たーんたーたたたー たらららー たたらたーらたらたらたー~♪
 
 
 
うん、海梨さんはDSiと出会うべくして出会ったのではなく
万札との別れのために出会ったのです。(をぃ)
 
 
 
その帰り道、ふと思い出してめいとさんに寄ろうかと考えました。
ZIG☆ZAGの新刊確かもう出てるよなーと。
でも止めました。発売前にどうせ行くし。
何より今はお金が出て行ってしまった後。
緊急用にとは云えどももう一枚持っている万札が出て行くのは非常に困ります!
きっと海梨さん、あのままめいとさんにまで寄っていたら
確実にティアクライスを予約して来たに違いないからです(恐怖)
 
 
なので褒めてください。
取り敢えずは耐えたことに!
めいとさんは魔窟なのです!
この間ぶりーちのベスト予約しちゃったもん!!(涙)
(そう云えば海梨さん、前も金欠だったよね、幻水出るとき)
 
  
 
そしてティアクライスですが。
星の印とか云ってる辺りでもう幻水じゃねぇよ、とか想ってます。
幻水の世界は紋章で成り立ってんじゃねぇのかよ!と
創生物語自体を裏切りまくった作品構成に
村山P!573にカムバック!!!とひたすらに祈り続けています。
だってこのままじゃ路線ずれまくって
 
ジーンさんの秘密とか、ビッキーちゃんの謎とか
ペッシーとユーバーの因縁の対決とか
色んな張りまくった伏線が解消されないままなんて!!!!
気持ち悪すぎる!
 
 
 
外伝なら良いのです。
まぁ、外伝なら。
でもね、幻想水滸伝、ってつけちゃってるから
ちょっと気になるのよね。
しかも108星集めるとか諸本編じゃん!と。
 
 
 
それにしても私はハードだけ買ってどうするつもりなのでせうか。
 
年賀状の手間賃、どのくらいもらえるかなぁ。
(今年後望める臨時収入はそれくらい)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 







 
 
 
 
 
 
 待ち侘びたクリスマスコンサートの日。
 正直云って、わくわくしていさえいる自分に驚いている。
 今までひたすら淡々と音楽を愛してきたけれど
 この高揚感は味わったことが無い。
 否、確かに今まで開いたコンサートも楽しくなかったといえば嘘になる。
 いつも君の音を傍で聴いて、段々と良くなっていくのが自分のことのように嬉しくて
 2人で合わせる時をいつも楽しみにしていたのだけれど。
 
 このコンサートが終われば、それもなくなるのか、と想うと
 少し寂しさもこみ上げる。
 
 だがきっと、君はこのまま音楽の道を進んでくれると信じている。
 俺と君が、音楽を続けていれば、この関係は壊れることは無い。
 同じ学年だから、きっと入学式や他の式典では会っていたのだろうが
 君を君として認識した春のコンクール―――――――
 正直、ファータたちの力で参加している君は不真面目だとさえ想ったが
 君の努力は本物だった。
 君は音色に想いを乗せ、ファータの力を借りずともヴァイオリンを唄わせるようになった。
 現に今持っているのは何の魔法もかかっていない普通のヴァイオリン。
 それを今までのコンサートから観ても判る通りに響かせ唄わせているのは君自身。
 
 誰の力でもない、君の努力の成果だ。
 
 確かに君は他の人間よりもファータに愛されているかもしれないが
 それ以上に君の向上心の高さには敬服している。
 始めた頃はすぐに身体が強張っていただろうに
 それくらいヴァイオリンの構えは普通と違う。
 それなのに今は疲れを知らないほど、毎日練習をこなしているのを知っている。
 俺は君をライバルだと、そしてよきパートナーだと想う。
 競い合う相手がいるのは良いことだ。
 それ以上に支えてくれる相手がいてくれることは大切だと、最近想い始めた。
 
 音楽とは孤独なものだと想っていた。
 それでもこうして君と、他の人たちとアンサンブルをしていると
 自分以外の音と自分の音を重ねる、ということを経験していると
 他者の存在を認めざるを得ないことに気がつく。
 それはすべて、君のおかげだ。
 
 
 この気持ちをどう表現していいのか判らない。
 この胸に芽生えた暖かさを―――――――――
 
 
 
「おーい月森、そろそろお前さんも出番だぞ」
「行きましょう、月森先輩」
「金澤先生、志水君・・・はい、今行きます」
 
 

 君が例え誰を選んでいようとも構わない。
 今君への想いをヴァイオリンの音色に乗せて―――――――――――
 
 
 
 
 
 紅紫の薔薇か・・・・
 きっと柚木先輩辺りが用意したのだろう。
 俺は君に何を贈ろうか、正直迷ったんだが
 やはり君には水色の何かをつけていて欲しかったから
 小さいけれど綺麗な水色の石が嵌ったネックレスを見つけたから
 思わず君に似合うだろうと想って購入してしまった。
 きっとこれを人は衝動買い、とでも云うのだろうな。
 色んなひとが君を見て、君の演奏を楽しみにして、そしてお疲れ様、と声をかけて。
 そしてささやかな褒美を残していく中、俺だけ少し浮いているだろうか。
 だがしかし、他のひとが君に何を贈ろうが構わない。
 俺は、俺だから。俺の気持ちからのものだから。
 
「あ、月森君、こんなとこにいた」
「日野・・・」
「外すごいクリスマスツリーだね」
「え、あぁ、そうなのか?」
「あれ? 見てない?」
「あぁ・・・・・・」
「それじゃ打ち上げ終わったら皆で見に行こうか。どうせホールの前だし」
「・・・・・・それも良いかもしれないな」
 
 皆が呼んでるよ、と日野は俺の手を取って打ち上げ会場へと行く。
 無事にコンサートも成功した。
 これで学院も音楽科と普通科が分かたれることは無い。
 それが嬉しいだなんて、君ともう少し一緒に過ごせることがこんなにも嬉しいだなんて。
 
 帰りに見たツリーは本当に大きくて、他の皆も歓声を上げていた。
 
 ウィーンに行くのが、少し寂しいだなんて、今の俺に云う資格はない。
 粉雪が舞い始め、本格的なホワイトクリスマスだ。
 例えこの思いが君に届かなくとも、言葉で伝えることができなくとも
 君と繋がる音楽があれば、俺はそれで―――――――――――
 
 
 
 日野、いつか君と2人で肩を並べて
 ヴァイオリンを奏でられる日が来ることを願おう。
 俺はそれで満足だ。
 
 
 
 
 
 
 
=============================== 
お題:『粉雪』『伝える』『紅紫色』
お題提供:たんぽぽ様
 
 
 
 
・・・・・・ついにやってしまった。
月森君の独白SSS・・・・・・・・
特に何を考えたわけでも何を妄想したわけでもないんだが
いい加減うるさいので書きました。
日野が日野がとあの日以来煩いので
しかも愛情駄々漏れ状態なのが痛いので
糖度は抑えましたが、消えてくれるかな・・・脳内月森くん。
 
 
今邪念は捨てなきゃいけないんだ。
だってもうすぐ色々在るし。
だからとりあえず祓っておこうと想って。(厄災か)
 
 
 
 
ちなみにクリスマスコンサートで月森君選ばれなかったみたいですね。
香穂ちゃんは誰の呼び出しに答えた後だったんでしょう♪
(悲恋好き)
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 



 
 
 
 
 ざくざくと新雪を踏みしめながら、コートを着込んだ身体と
 手袋でがっちりガードした手で茶色い紙袋を抱える。
 さーっと音がするほど強い風が地面すれすれを吹き抜ける。
 途端舞い上がった粉雪に視界が真っ白に染まる。
 
 
「なんじゃ、お主かえ」
「・・・・・・?!」
 
 
 突然現れた新雪と同じ色の肌を持つ白髪の少女は
 その柘榴色の瞳を閉じ、すっと浮き上がったかと思えば、自分の隣に来ていた。
 
 
「こんな所で会うとは奇遇じゃの」
「お、お久しぶりです」
 
 
 若干緊張しながら男性は言葉を口にした。
 正直云ってこの人と一緒にいて、良かった思い出など無い。
 散々こき使われたかと想えば、急に姿を消して
 自分がピンチの時には助けにすら来てくれず
 その事後処理が終わった後何食わぬ表情で戻ってくるのだから
 本当に性質が悪い人だ。
 
 
「前に会うた時よりも、老けたかの」
「そりゃ人間ですから」
「そうじゃの、わらわが人間じゃないのかの」
 
 
 ころころと笑うその姿は、始めて少女と出会ったときと変わりなく。
 出で立ちも喋り方も同じなのだから、この人型をした少女は何者なのか、と想う。
 全くの別人というわけでも、他人の空にとも違う。
 彼女は彼女自身なのだ。
 
 
「で、こんな所で何をしてるんですか、貴女は」
「・・・待っておるのじゃ」
 
 
 自分が抱えていた茶色い袋の中身を目ざとく見つけた彼女は
 一つよこせ、と云ってその紅紫色の芋を、熱くもなさそうに両手で持っている。
 ほくほくと白い湯気がたっているそれを二つに割れば、中の黄金色がまたも美味そうだ。
 やはりあの店で買ったのは正解だったな、と想いつつ、自分も袋の中身を一つ取り出した。
 
 
「待つ、って誰を」
「人の子よ」
 
 
 人の子? と首を傾げたこちらに気づいていながらそれを無視する辺り、変わっていない、と想う。
 散々振り回された挙句に荒らされて行った自分の家の惨状を思い出すと
 どうにも気が滅入るが、よくよく考えると、彼女とこうしてまともに話したのは初めてかもしれない。
 
 
「人の子、って、まさか貴女と一緒に旅をしてる人がいるのですか」
「そうじゃ。意外か?」
 
 
 まさか人間でこの人のペースについていける人がいるとは想わなかった。
 驚いた表情を隠すこともせず、と云うか隠そうとも想えなかったが
 ただ唖然と口をあけていると、どこからか小さな声が聴こえた。
 
 
「ふむ、来たようじゃの」
「来た・・・?」
「し・・・」
「し・・・?」
「始祖様、速いです!!いくらなんでも速すぎます!
 僕にあれについて来いというのは余りに酷です!!」
「おんしが寒いというから、身体を温めさせてやろうと想っての」
「判ってます!判ってますけど、始祖様、僕を何だと想ってんですか!」
「小僧じゃ」
「そうですよ、小僧です。
 小僧が始祖様と同じレベルで移動できるかと問われればそれは否です。
 そのくらいお分かりでしょう???」
 
 
 目の前の林から出てきて、息を整えた少年は、『始祖様』と云う単語をやっと紡いだかと思えば
 その後を一気にまくし立てるかのように、言葉を続けた。
 少年の言葉をうるさそうに聴いている少女は、雰囲気こそそうしていれども
 その表情は、まるで面白がっているかのようで。
 
 
「とにかく―――――あぐ??
 ――――――――――けほっ!って、熱っ!なんですか、これ」
「芋じゃ」 
 
 
 まだ続きを云おうとしていた少年に、自分が持っていた焼き芋の半分の片割れを口に突っ込み
 それを黙らせた少女は、喰え、と一言付け加えると、少年は大人しく、頷いた。
 
 
「焼き芋って熱いから僕苦手だったんですけど、これやけに冷めてますね」
「おんしは猫舌じゃからの」
「・・・・・・冷ましてくださったんですか?」
「・・・・・・」
「ありがとうございます。始祖様」
「礼ならこいつに云え。その芋はこいつのじゃからの」
 
 
 そう云って少女が自分の方を示す。
 そこで初めて自分に気がついたかのように少年は一瞬動きが止まった。
 
 
「す、すみません! ご挨拶が遅れました!
 ・・・・・・始祖様が何かしませんでしたか?」
「おんしはわらわを何だと想うておるのじゃ」
「始祖様です」
「・・・・・・・」
「で、あなたは?」
「そこの村で商人をしてるもんだ。と云うか、よくこのひとに着いて行けるな」
「お主も大概じゃの」
「あはは。でも始祖様との旅は学ぶことが多いですよ。
 知らないこと教えてもらって・・・ホントに、火を起こすとこから教えてもらいましたから」
 
 
 そう云ってしみじみ思い出す少年の瞳の奥は、自分が想っている色よりももっと深い。
 外見にしては大人びたその瞳は、普通の少年のそれにしては不釣合いに見えた。
 
 
「でも始祖様にこんなお知り合いがいるなんて驚きました」
「え?」
「だって、あなた本当に普通のひとだから。始祖様とはいつ?」
「・・・・・・幼い頃だ」
「じゃ、きっと美少年だったんでしょうね。始祖様美少年好きだから」
「おんしは何を云うとるか!」
 
 
 こてん、と少女にグーで殴られても、変わらない笑みを見せる少年。
 少年の言葉に『?』を飛ばしながらも相槌を打っておく。
 どうも、この話の流れだと、この少年も人間じゃないような・・・・・・
 
 
「それじゃ、どうもごちそう様でした」
「いや・・・」
「始祖様、これからどっちに行くんですか?」
「そうじゃの、この辺りはこれからもっと酷くなるじゃろうから、もうちと暖かい所かの」
「それにしても始祖様に雪、って似合いますよね」
「そうかえ?」
 
 
 少女の問い返しに少年は深く頷くと、瞳の色が映えますから、といとも簡単に伝える。
 恥ずかしいという感情を欠いているのではないか、とも想うけれども、実際彼女は雪に映える。
 白い雪のような肌は雪に融けて消えてしまいそうだが、その瞳は彼女の存在をそこに焼き付ける。
 ここにいる、と強く光を放つその存在は、普通に生きてきた人間とは違う稀有なもので。
 
 
「それじゃおじさん、僕たちはこれで」
「お主も達者での」
「あぁ・・・・・・・」
 
 
 
 
 
 嵐のような存在の少女は、更にパワーアップして連れを連れていた。
 そして彼女たちの姿が見えなくなると、また夢だったのではないかと頬をつねる自分がいる。
 いつの間にか『おじさん』と称される年齢になっていたのか、と客観的に冷めた目で自分を見て
 そう云えば手に皺が深く刻まれていることに、改めて気づく。
 
 
 あの少女は変わらない。
 
 
 そしてきっと、あの少年も同じなのだろう。
 人間くさい少年なのに、とふと想う。
 少女を人間じゃないと称した自分への戒めのようなあの屈託の無い少年の笑顔が
 誰よりも人間性を主張しているかのようで、瞼から離れない。
 
 
 時に置いていかれる感覚というのは、どういうものだろうか。
 
 
 ふとそんなことを考えてしまった、冬の日―――――――
 
 
 
 
 
=================================
 
 
お題:『粉雪』『伝える』『紅紫色』
お題提供:たんぽぽ様
 
 
ふと思いついた、始祖様with普通のひと。
最終的には少年と旅をしていることになってますが
最初はただ始祖様に振り回されて迷惑を被る普通のひと、でした。
でもちょっと昔話にしてみれば、始祖様がどんな時を生きてきたのか
それが視えるかなぁ、なんて。
 
普通のひとにとって始祖様は割と我侭な存在です。
このひと長生きしてるから、と云う認識がないので
少女の外見にしては生意気で小憎たらしい存在だと想います。
少年は始祖様とある程度付き合ってから旅立ったので
彼女の存在も、自分の存在も『時に忘れられた存在』として
普通とは違うけれど人間、と云う認識で
始祖様はとても長い間生きているので本当に長寿の知恵を借りている、と云うか。
 
 
突然始祖様のような少女が目の前に現れたら
それこそ嵐のようなものでしょう。自然災害です。(をぃ)
 
 
紅紫というのを見た途端、焼き芋が喰いたくなったのですが
焼き芋を焼く話じゃ粉雪を入れられないので
普通のひとに寒い雪の日に焼き芋屋さんで買ってきてもらいました。
 
 
 
 
 
それでは素敵ネタをありがとうございました♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 もう随分昔に感じたきりになっていた感覚に身を委ねる。
 その感覚は研ぎ澄まされ、ものすごいスピードで墜ちていく感覚と
 もう一つのゆっくりとした時の流れを、余すことなく感じ取っていく。
 
 あぁ、懐かしい――――――
 
 黒髪の少女は瞳を閉じたまま、ゆりかごのようにさえ感じられるこの時空間旅行を
 ただひたすら感じていた。
 
 
 
 
「え、優衣お姉ちゃんも行っちゃうの??」
 
 母親譲りの黒髪を揺らして、友人であり母親代わりのセンナの娘、優奈が驚いた声を出す。

「うん、どうもちょっと気になって、ね。優お兄ちゃんだけじゃ不安だから」
「でもなんで? お兄ちゃんは好きでやってるって云ってたけど、お姉ちゃんが危ない目にあうのは・・・」
 
 自分を本当の姉として慕ってくれている優奈に、だいじょうぶ、と頭に手を置いて静かに告げる。
 そして静かに視線を自分の友人達に戻す。
 
「センナちゃんや篠くんには、余計な心配かけちゃうけど・・・」
「良いのよ、依頼はあの子が受けるって決めてるんでしょう?」
「それに優衣が自分も必要だと見極めてるなら、それが一番いいんだろう?」
「2人とも・・・・・・」
 
 感極まってありがとう、と云うと、並んで座っていた友人二人の首に手を伸ばす。
 久しぶりな気がする抱擁は、難なく受け容れられ、そしてふっと息を吐いて惜しむように離れる。
 
「優衣お姉ちゃん・・・」
「ん、はい、優奈も」
 
 そう云って不安そうな妹を抱きしめる。
 この温もりも、しばらくは感じられないだろうと覚悟を決めて。
 
「優を危険な目にあわせちゃうかもしれないけど、絶対死なせないから」
 
 少女は2人の瞳をまっすぐ捕らえると、告げた。
 
「絶対無事に帰すから」
 
 
 
 
 
 独特な越えている間の感覚は、ひとによっては一瞬のもの。
 抜けたと自覚したときには既に、少女と少年は並んで大きな城下町の外れにある草原に立っていた。
 どこと無く記憶の琴線に触れるような感覚に少女は自分の中の数ある記憶を手繰るも
 それが何であるかは、実際の所思い出せない。
 はふっと息を吐いて、目的地を封筒で確認し、それがあの城下町にあることを認識して
 少女は隣に立つ『兄』へと声をかけた。
 
「お兄ちゃん、絶対に死んじゃダメよ」
「そういうお前こそ」
 
 辺りに殺気らしきものを感じ取って、瞬時に獲物へと手を伸ばす。
 部屋に合った武器―――以前彼女が使っていたもの―――を適当に見繕って持ってきたのだが
 碌な手入れをしていなかった所為か、その中でも使えるものは少なかった。
 中でも使えそうなものだけを吟味し、所持しているのだが、少年は丸腰だ。
 はっきり云って分が悪いにも程がある。護りながら戦う、というのは。
 
 低い唸り声とともに姿を現した獣は、複数体。
 唯一の救いは知能レベルが低そうだということ。
 
 取り敢えずは逃げるか、と判断し、少年の腕を取って地を蹴る。
 いきなりのことに少年は多少驚いているが、しっかりと自分でも走っている。
 丸腰なのはまずかったな、と今更悔いても仕方ない。
 少女は獣達への牽制にほとんどさび付いて殺傷能力がないナイフを彼らの目の前の地面めがけて投げる。
 その動作は自然でいて俊敏。
 明らかに慣れているとでも言いたげなその動作の一つ一つ、どれをとっても無駄や隙が無い。
 
 そして少年が必死で走っているにも拘らず、少女の息が切れていない。
 獣たちを巻いたことを悟った彼女は徐々にスピードを緩めていったが、完全に行動を停止した時には
 既に城下町へ辿り着いていた。
 
「ふぅん」
「どうした?」
「否、ね。戦時中にも拘らず、門番さえいないのだな、と想って」
 
 その言葉に少年もこの開けっ広げな街を見る。
 普通なら、軍事の拠点となる場所ならば、厳重な警備がされていてもおかしくは無い。
 本当に一般庶民ばかりの町に少し呆気に取られたが、よく捜せば腕が立ちそうなものもそこかしこに居る。
 だが皆陽気で、今が戦時中だということを忘れさせるほど明るい。
 
「確かに。時は間違ってないんだよな」
「封書に導かれて来たから間違っていないはずだわ。取り敢えずはここの軍主の情報収集ね」
「必要あるか?」
「依頼人が軍主でなく、軍師だってことが不思議なの。
 軍師はこんな依頼ができるなんて迷信だと想ってて、使用するかどうか怪しいものだもの」
「確かに」
「軍師なら来たらめっけもの、捨て駒くらいに考えられている可能性もある。
 軍主の人となりによってはそういうことを嫌うから、そっちを優先的に調べた方が利口ね」
 
 淡々と紡がれる言葉に抑揚はなく、彼女の視線は絶えず動いて街の人々を観察している。
 
「とにかく、ここは部外者でも入れる一般的な街のようだし、旅人装って情報を聴きだしてきて」
「・・・『きて』って、お前は行かないのか?」
「私は別の手段で見極めるわ。そっちはよろしくね。優お兄ちゃん?」
 
 にっこり、と音がつきそうな笑顔で妹にそう云われてはNOとは云えない。
 と云うか、NOとは云わせない、というような気迫が背後に見えたのは気のせいだろうか。
 少年はため息を吐きつつ、わかったよ、と云うと、すっと人込みへと紛れた。
 
 
 

 少女はまっすぐ城へと向かっていた。
 城下で聴くところによれば、軍主はまだ年端も行かない子供らしい。
 丁度あんたくらいだよ、と云われたときにはどう反応したものかと考えたが
 それでもそこも上手くかわして、一様に云われる軍主の人望の厚さと
 そしてまだあんな子供なのに、と云う嘆きを聴いてきた。
 それが軍主なのだとしたら、軍師は一体何をやっているのか。
 
 軍主が少年だということで、悪戯好きならば、こういう依頼の出し方が在ると知ったならば
 試しに実践してみる、というのも考えられる。
 でも差出人は軍主ではなく軍師なのだ。
 そこがどうも合点がいかない。
 
 
「・・・・・・あれ? 君、見ない顔だね」
 
 城の入り口付近であれこれ考えていれば、いずれ関係者が出てくるだろうと想ってはいたが
 まさかここまで早いご登場とは考えていなかった。
 警備の兵――恐らく一般兵――を労っていた少年は、こげ茶の髪を揺らして、こてんと首を傾げる。
 しばらくの間は、彼が自分の仲間全員を思い出していたのだろう、そう考えれば納得もいく。
 そして警備の兵の反応からすれば、この少年はそれなりの位置にいると考えて間違いないだろう。
 
「うん、たまたまこの街に寄ったから」
「へぇ、そうなんだ? 今は物騒なご時勢なのに、ひとりで?」
「ううん。兄と一緒なんだけど、この街広いから逸れちゃって」
「そっか、それで目立つ場所、と思ってここに来たの?」
「そう」
 
 大変、なかなかに切れ者のようだ。
 内心その頭の回転の速さに、にやにやしながら少年と話を続ける。
 
「一緒に捜しに行こうか? 僕この街詳しいからどんな場所でも大丈夫だよ?
 それともお兄さんとここで待ち合わせしてるの?」
「そういうわけじゃないの。でも多分きっと、お兄ちゃんもここを目指してるだろうから」
「そっか。じゃぁここを動くわけにも行かないね。君はどこから来たの?」
「ずっと上の方・・・」
「上? 北って云うと・・・丁度僕らが戦ってる相手の国の方から来たんだね。
 よく無事でいられたね」

 上、というのは感覚的なものであって決して方角的なものではないのだが
 少年の言葉に『上=北=敵国』と云う図式が出来上がっているようだ。
 まぁ、確かに地図で上といえば北を指すが。
 少年はくりくりとした髪と同じ色の瞳をうーんと、と上に持っていき、何やら考えている。
 外見年齢は、確かに近いかもしれない。
 街で聴いた『軍主』の特徴の天真爛漫、というのも当てはまる気がする。
 ということは、この少年が・・・? と不躾に少年の顔を見やる。
 その視線に気づいてか、少年はこちらに視線だけチラッと向け、視線があうと、ははは、と乾いた笑いをこぼした。
 
「何? 僕の顔に何かついてる?」
「ううん。何でこんなに優しくしてくれるのかな、って想って」
「え? 何で、って云われてもなぁ・・・。困ってるひと助けるのは当たり前じゃない?」
 
 そう云って笑った後、真摯に向けてくる瞳は、まっすぐで、嘘を語っているとは想えない。
 全てを統べる、軍主という立場の人間・・・
 神、と云う存在がいるとすれば、こういう人間こそを好むのだと、そのまま。
 
 
「そっか、そうだよね」
「納得してもらえたなら良かった。で、君、名前は――――――」
「優衣!こんなとこにいたのか!」
 
 こげ茶色の瞳を持つ少年が少女の名を訊ねた声にかぶさるように
 金糸に青色の瞳を持つ少年が妹をみつけて呼んだ。
 少女はこげ茶の少年ににっこりと笑って手を振ると、自分を呼んだ声の主の元へと走りよる。
 それはどこからどう見ても、仲のいい兄妹が再会した場面そのもので。
 
「優、どうだった?」
「大方、良いもの。ちょっと遊びが過ぎる、って云ってるやつもいたがな」
 
 賭け事とか遊びとか、と聴きだした情報を空で述べる少年に、はふっと息を吐く。

「んで、口癖は『ねぇ、仲間にならない?』だそうだ」
「ふぅん」
 
 そう云いながら視線を先ほどまで話していた少年へと向ける。
 にこにこと楽しそうな少年は、少女の視線に気づくと歩み寄ってくる。
 
「えっと、あなたは?」
「俺はコイツの兄貴だ」
「あぁ、この子が云ってたお兄さん、ってあなたのことですか」
「そうよ」
「で、君たちはこれからどうするの?」
「・・・・・・?」
「この辺先刻も話したけど物騒なことこの上ないんです。お兄さん相当お強いんですね。
 ねぇ、君たちさえ良かったら、僕の仲間にならない?」
 
 
 この決定打を聴くまでは、と想っていたが、さすがにこうもあっさりと認められては。
 
 
「この依頼書、出した軍師に会いたいんだが」
「え、それ・・・本当にいるんですねっ!」
「は?」
「だってそれ、サルシードさんの名前使って書いたの僕ですもん」
 
 そう云って、悪戯好きの少年は、『じゃぁ、もちろん仲間になってくれるためにきてくださったんですよね』
 と、ひたすらにこにこ笑っていた。
 
 自分のした悪戯が想いも寄らぬ方向で成功したことに喜ぶかのように。
 
 
 

 
 
 


 

届け響け心の音

2008年11月17日 ネタ帳
 
 
 
 
 
 
 けっして豪華な造りとは云えないが、そこに揃えられた調度品は年季の入ったものばかりで
 『無駄がない』という言葉がこれ以上ふさわしい場所は考えられないほど
 整然とした部屋の中で、両親とも黒髪を持つ彼が何故に金糸を持つかと思われるほど
 端正な顔立ちを持った少年は、部屋の大きな机に置いてあった白い封筒―――若干日焼けしている―――
 を手に取り、封を開けたのは、それはもう日が傾いたときのことだった。
 
「あ、珍しい。依頼だ」
 
 遺伝子学的にはおかしくない額にかかったその金糸を、無造作にかきあげて、中身を読む。
 そして隔世遺伝した蒼い瞳を細めると、口角を僅かに上げた。
 
「あれ?優、どうしたの?」
「―――・・・!」

 書状を読むのに集中していた所為か、黒髪を持つ少女の近づく気配に優、と呼ばれた少年は気づけなかった。
 僅かに驚いた表情を見せるものの、すぐにふっと息を吐いて自分を取り戻す。
 
「お兄ちゃん、だろ? 優衣」
「あ、そうだった」
「ったく、一緒に暮らすからっていきなりお兄ちゃんになってね、なんて母さんも・・・」
「あら、センナのこと悪く言わないで?」
「まぁ、母さんは母さんだから仕方ないかもしれないけど、あの父さんまで・・・」
「篠のことも悪く言わないで」
「大体なぁ・・・お前は家に住み始めて一体何年経ったと思ってる」
「さぁ? まだ幼い頃だったから憶えてはいないわ」
「だったらいい加減、俺のことも『お兄ちゃん』で固定させろ」
 
 そう云いきった少年に、少女はそうは云っても・・・と、首を傾げる。
 
「仕方ないじゃない。転生前のこと、思い出してしまったのだもの。実年齢は兄よりずっと上、なんて、時々気が滅入るわ」
「お前が時々じゃなく頻繁に俺を名前呼びするから妹の優奈まで、時々間違えるんだ」
「だって、私は優・・・じゃなくてお兄ちゃんが赤ん坊の頃から知ってるんだもの」
 
 仕様がないじゃない・・・と瞳を伏せる血の繋がらない妹に、優は盛大なため息をついた。
 コイツのこういう表情は好きじゃない、と思いながらも、こういう表情をさせてしまった自分に
 散々心の中で悪態をつきながら、そうじゃない、と妹の頭に手を乗せる。
 
「俺だって馬鹿じゃない。
 今のお前の姿は俺が幼かった頃母さんや父さんと一緒に俺と遊んでくれた、あの人とおなじだから―――
 否、実際同一人物なんだから仕方ないが。お前が家に引き取られた時にはお前、退化してたから」
 
 少年は自分よりも幼い少女がやってきた日のことを思い出した。
 突然両親が、この子を家の子として育てたい、と云いだしたのには驚いた。
 一体どこでその幼子を拾ってきたのか、とか聞き出したいことはたくさんあったが
 両親がそれまでにも揃って家を留守にしてどこかに行っていたのは知っていた。
 それが彼女の身の回りの世話だったのだと聞かされたときには、ほとほとあきれていた。
 確かに自分は手のかからない子供だったかもしれないが、よその子供まで、と。
 
 ただ、事情が違っていたのは、その幼子を両親は、古い知り合いなのだと説明したこと。

 どこをどう見ても自分より幼いその幼子を古い知り合いと称す両親が自分でも信じられなかったが
 今ではそれも信じられてしまう。
 
 彼女は何かの危機に陥り、身体の年齢が遡ってしまったらしい。
 そして物心がついた頃にはそれまで失くしていた記憶も戻り、両親と友人としての会話をしていた。
 だからこうして頻繁に自分のことも友人の子、として認識し、今の状況を忘れ、名前で呼んでしまうのだ。
 そう理解はしていても、やはり妹として可愛がって育てた兄としての心が「兄」として
 きちんと認識して欲しいという欲求を持ち出す。
 我ながら子供染みてる、などとも思うが、実際彼女は血が繋がらないとはいえ、妹なのだ。
 その辺の区切りはきちんとつけろ、と毎回のように行ってはいるのだが、昔からの癖というものは
 そう易々と抜けてはくれないものらしい。

「それで?」
「それで、ってなんだよ」
「その封書、何だったの? お兄ちゃん」
 
 『お兄ちゃん』と云う言葉を誇張して紡がれた言葉に、あぁ、と頷く。
 
「依頼」
「何の?」
「今度は五体満足で帰ってこれるかな」
「まさか、危ない仕事?」
「うん、傭兵依頼」
「傭兵??」
 
 徴兵じゃなくて??と返してくる辺り、少女も少女だ。
 今のこのご時勢、この国にいれば平和だと云い切れなくもない。
 それなのに傭兵の依頼だなんて、と、そちらを驚くべきではないのか。
 
 だが彼女が両親と出会う前に色んなことを見聞きしてきたことを考えるとその発言も納得がいく。
 きっと両親に出会う前にでも戦争に巻き込まれたか、自分で突っ込んでいったのだろう。
 ・・・・・・完全に否定し擁護できない辺り、自分も彼女のことを理解してきたのだな、と想う。
 
 
 
「なるほど、ね」
 
 封書の中身――こちらは日に焼けていない――に目を通して少女は、はふっと息を吐いた。
 
「現場指揮ができるような人材を捜している、と。つまりは隊長クラスの派遣依頼か」
「あぁ」
「まぁ、お兄ちゃんは訓練受けてるから、戦場で生き残れないことはないだろうけど」
「だろうけど?」
「現場指揮はどうかしら、と想って」
「一応俺もリーダー的立場は経験してるぞ」
「そうかもね。でも戦場じゃそんな甘いことも云ってられないのよ」
 
 そう云って少女は顔を伏せる。
 
「それに第一依頼人が信用ならないわ。引き受けるにしてもお兄ちゃん独りじゃ危険すぎる」
「・・・それじゃどうするんだ、って云わずとも判るがな」
「それは結構。元々この万屋は私が開いたものだし、私も行くわ」
「そうは云っても、これは時空を超えるぞ?」
「大丈夫。もうそれに耐えうる身体にはなってるわ。それじゃ、準備しましょうか」
 
 そういうと少女は、センナちゃんたちに挨拶してくる、と部屋を出て行った。
 この無機質ともいえるような、殺風景ともいえるようなこの部屋は、彼女のもの。
 彼女が倒れていた家がここなのだ。
 普段は空き家になっているが、それを感じさせないこの美しさ。
 昔彼女に一体何があってここに倒れていたのかは知らないが、それでも想う。
 彼女が幸せであれば良いと―――――
 
 
 この部屋は、あらゆる空間と繋がっている。
 だからここはあらゆる世界から依頼が届く。
 すべての時と空間を統べたようなこの部屋で、彼女は一体何をしていたのか。
 幼い頃は時空を越える体力が無い所為で自分を責めていたが
 もうそれすらも関係ない、といえるほどに成長してしまった。
 
 つらいことがあったのではないか、と想えるほどの彼女の傷つきようを
 少なからず感じ取っていた少年は、彼女を連れて行くべきか否かを考える。
 護りたい。哀しい目にあって欲しくない―――――
 それでも、自分には彼女を止める権利は有していないのだ。
 
 
 
 
 それもまた、彼女が選び取った運命なのだから。
 
 
 
 
 
 
 

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